皆様は、診療報酬ファクタリングをご存じでしょうか。診療報酬ファクタリングは、診療報酬債権をファクタリング会社に譲渡することで即座に資金調達が行える方法です。また、診療報酬債権をファクタリングを賢く利用することでまとまった資金の調達も可能になるため、とても便利です。
そこで本記事では、診療報酬ファクタリングについて利用するメリットやデメリット、選び方について解説していきます。ぜひ参考にしてください。
診療報酬ファクタリングとは
診療報酬ファクタリングとは、診療所の売掛金にあたる診療報酬をファクタリングというものを利用することにより、即座に資金調達を行う方法です。そのため、診療報酬ファクタリングを理解するためには「ファクタリング」について理解する必要があります。
ファクタリングとは
診療報酬ファクタリングを理解するうえで知っておくべき「ファクタリング」とは、売掛金をファクタリング会社に売却することにより、手数料などの諸費用を差し引いた分の資金を調達する方法のことです。ファクタリングを利用することでスピーディーに資金調達が行えるため、中小企業や個人事業主では重宝されています。
また、ファクタリングには「3社ファクタリング」と「2社ファクタリング」の2種類があります。3社ファクタリングは、ファクタリング利用者と債権の請求先、ファクタリング会社の3社で行うため、2社ファクタリングに比べ諸費用等が安く済みます。
診療報酬ファクタリングの仕組み
先ほどはファクタリングについて解説しました。そのことも踏まえ診療報酬ファクタリングの仕組みについて解説していきます。診療報酬は、診療報酬債権をファクタリング会社に譲渡することで即座に資金を調達する方法です。通常診療報酬を得るためには、社保や国保に対して請求する必要があるため、資金が手元に振り込まれるまで2ヶ月ほどかかってしまいます。
そのため、個人経営の診療所や即座に資金調達を行いたい診療所などでは、診療報酬ファクタリングを利用し、即座に資金調達を行います。また、診療報酬ファクタリングの基本的な手順は以下の通りです。
- 診療報酬債権についてファクタリング会社と「債権譲渡契約」を締結
- 契約締結後、ファクタリング会社と連名で債権譲渡通知を各社保・国保あてに送付・通知する
- ファクタリング会社が譲渡を受けた診療報酬債権のうち社保・国保への請求書の範囲の金額を買い取り代金として振込
- 社保・国保はその後、ファクタリング会社に診療報酬を支払う
診療報酬ファクタリングを利用するメリット
診療報酬ファクタリングを利用することでさまざまなメリットがあります。そこでここでは、診療報酬ファクタリングを利用するメリットを解説していきます。診療報酬ファクタリングを利用するメリットは以下の通りです。
- 資金調達を即座に行える
- 借り入れ扱いにならない
- 審査に通りやすい
- 手数料が安い
- まとまった資金の調達が可能
資金調達を即座に行える
診療報酬ファクタリングを利用する1つ目のメリットは、資金調達を即座に行えることです。診療報酬を受け取るためには通常、社保または国保に対して請求する必要があるため、2ヶ月ほどかかってしまいます。しかし、診療報酬ファクタリングを利用することで、ファクタリング会社と診療報酬債権についての債権譲渡契約を締結すれば報酬が受け取れるようになります。
そのため、診療報酬ファクタリングを利用することで、数週間程度で診療報酬債権のうちの社保・国保への請求範囲の金額分の資金調達が行えます。
借り入れ扱いにならない
診療報酬ファクタリングを利用する2つ目のメリットは、借り入れ扱いにならないことです。ファクタリング会社を利用して資金調達を行うため、借り入れをしている感覚になってしまうことがあります。しかし、診療報酬ファクタリングは借り入れ扱いにならないため、信用情報への記録等も残ることがありません。
このようなこともあり、診療報酬ファクタリングを利用して資金調達を行う方法が多くの方に注目されています。
審査に通りやすい
診療報酬ファクタリングを利用する3つ目のメリットは、審査に通りやすいことです。金融機関等で融資を受ける場合には厳しい審査が必要であるため、資金調達を行えない場合があります。しかし、診療報酬ファクタリングで行われる審査は、診療報酬債権の売掛先の信用です。診療報酬債権の売掛先は社保・国保であるため、信用はとても高くなります。
そのため、診療報酬ファクタリングの審査は通りやすく、資金調達を行いやすいです。また、銀行融資が通らない場合の資金調達で診療報酬ファクタリングを利用することもおすすめです。
手数料が安い
診療報酬ファクタリングを利用する4つ目のメリットは、手数料が安いことです。金融機関での融資などより利用しやすいことから手数料が高いのではと心配する方も多いと思います。しかし、診療報酬ファクタリングの手数料は1%前後であり、安く利用できます。診療報酬ファクタリングの手数料が安い理由としては、3社ファクタリングで行われているからです。
そのため、診療報酬ファクタリングを利用する手数料は安いので、資金調達を行う際におすすめです。
まとまった資金の調達が可能
診療報酬ファクタリングを利用する5つ目のメリットは、まとまった資金の調達が可能であることです。診療報酬ファクタリングは、診療報酬債権のうちの社保・国保への請求範囲の金額分の資金調達が可能です。そのため、診療報酬ファクタリングを利用することでまとまった資金の調達が可能になります。また、即座に資金調達が行えるため、設備の増設等の際に利用することがおすすめです。
診療報酬ファクタリングを利用する際のデメリット
診療報酬ファクタリングはさまざまなメリットがありますが、一方でデメリットもあるため理解したうえで利用することがとても重要です。そこでここでは、診療報酬ファクタリングを利用する際のデメリットを解説していきます。診療報酬ファクタリングを利用するデメリットは以下の通りです。
- 利用しすぎてしまう
- 掛け目制度により即座に全額支払われない
- 悪徳会社も存在する
利用しすぎてしまう
診療報酬ファクタリングを利用する際の1つ目のデメリットは、利用しすぎてしまうことです。診療報酬ファクタリングは、利用するハードルが低いため、基本的には誰でも利用できます。これはメリットでもあるのですが、依存してしまう可能性もあります。また、診療報酬ファクタリングを利用するためには、少なからず手数料がかかっているため、満額を資金として扱えなくなってしまいます。
そのため、診療報酬ファクタリングを利用する際には、手数料分が引かれてしまうことを理解し、利用しすぎないようにしましょう。
掛け目制度により即座に全額支払われない
診療報酬ファクタリングを利用する際の2つ目のデメリットは、掛け目制度により即座に全額支払われないことです。診療報酬ファクタリングを利用するメリットで即座に資金調達ができることがありますが、掛け目制度により全額を調達することはできません。掛け目制度とは、診療報酬債権の全ての金額を社保・国保が支払う可能性がほぼないため、少し低く見積もった金額を支払うことです。
診療報酬ファクタリングを利用したとしても初回は、診療報酬債権の社保・国保への請求範囲のうちの8割程度の金額のみの支払いになります。そのため、診療報酬ファクタリングを利用したとしても即座に全額は支払われないことを理解しておきましょう。
悪徳会社も存在する
診療報酬ファクタリングを利用する際の3つ目のデメリットは、悪徳会社も存在することです。ファクタリングは国が認めている信頼性の高い方法です。しかし、銀行融資などに比べると審査がゆるく、比較的簡単に利用できてしまいます。中には、正しい方法で契約を締結しないファクタリング会社やサービス内容を偽っているファクタリング会社などの悪徳な会社も存在します。
そのため、診療報酬ファクタリングを利用する際には、実績が多くあるファクタリング会社を選ぶことがとても重要です。
診療報酬ファクタリング会社の選び方
診療報酬ファクタリングを行う会社は現在、多く存在しているため、選ぶ際にどのようなことを基準にすればよいのか悩むと思います。そこでここでは、診療報酬ファクタリング会社の選び方を解説していきます。診療報酬ファクタリング会社の選び方は以下の通りです。
- 諸費用
- 買取金額の上限・下限
- 振込までの期間
- 審査の通過率
- 安全性
諸費用
診療報酬ファクタリング会社の1つ目の選び方は、諸費用で選ぶ方法です。診療報酬ファクタリングの手数料は基本的には、1%程度ですが、利用する会社によって異なる場合があります。手数料で選ぶ場合には、1%を基準に選びましょう。
買取金額の上限・下限
診療報酬ファクタリング会社の2つ目の選び方は、買取金額の上限・下限で選ぶ方法です。ファクタリング会社によって買取金額の上限・下限が異なる場合があります。買取金額の上限・下限で選ぶ場合には、上限と下限に制限がないものを選ぶことがおすすめです。
振込までの期間
診療報酬ファクタリング会社の3つ目の選び方は、振込までの期間で選ぶ方法です。ファクタリング会社によって振込までの期間が異なる場合があります。振込までの期間で選ぶ場合には、即座に振り込まれるものを選ぶことがおすすめです。
審査の通過率
診療報酬ファクタリング会社の4つ目の選び方は、審査の通過率で選ぶ方法です。ファクタリング会社によって審査の通過率が異なる場合があります。審査の通過率が高いものを選ぶことがおすすめです。しかし、審査の通過率が良かったとしても安全性に欠ける会社の利用は避けるようにしてください。
安全性
診療報酬ファクタリング会社の5つ目の選び方は、安全性で選ぶ方法です。安全性が高いファクタリング会社でなければ騙されてしまうということもあります。そのため、実績が豊富な安全性の高いファクタリング会社を選ぶことが重要です。
診療報酬ファクタリングを利用するべきシーン
診療報酬ファクタリングは、以下のようなシーンの場合には利用することがおすすめです。
- 設備の増設等を行いたい場合
- 短期間で資金が必要な場合
- 開業直後で資金が必要な場合
設備の増設等を行いたい場合
設備の増設等を行いたい場合に即座に資金調達が必要になります。その際には、診療報酬ファクタリングを利用することで即座に資金調達が行えます。そのため、設備の増設等を行いたい場合には診療報酬ファクタリングを利用することがおすすめです。
短期間で資金が必要な場合
診療所を経営していると短期間で資金が必要なタイミングが訪れる可能性もあります。その際には、診療報酬ファクタリングを利用することにより、数週間で資金調達が行えるためおすすめです。
開業直後で資金が必要な場合
開業直後で資金が必要な場合に銀行融資を利用できればそちらのほうが良いですが、信用情報があまりない場合の銀行融資の審査は厳しいです。そのため、診療報酬ファクタリングを利用することで信用情報がなくても資金を調達できます。また、借り入れ扱いにならないため、信用情報への記録もされません。
まとめ
本記事では、診療報酬ファクタリングについて解説しました。診療報酬ファクタリングを賢く利用することでさまざまなシーンで資金調達を行えるようになります。資金調達を即座に行いたい方はぜひ利用してみてください。
