トラックリースは、トラックを所有する代わりに一定期間借りて使用する方法であり、業務用トラックを初期費用をおさえて調達する有効な選択肢の一つです。トラックリースの料金は車両本体の費用のほか、一部の税金やメンテナンス費用などが含まれている場合があり、その価格の目安はトラックの種類やサイズによって変わってきます。
ここではトラックリースの料金の特徴や目安に加えて、トラックリースを使用するメリット・デメリットについても紹介します。初期費用を抑えて業務用トラックを調達したいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
トラックリース料金に含まれているもの
トラックのリース料金には本体価格のほか、税金やメンテナンス費用、保険料などが含まれているケースが多いです。ただし、契約内容によって異なるため、必ず契約前に料金に含まれる項目については、事前に確認しておきましょう。
本体価格
リース料金の多くを占めるのは車両本体の料金です。本体価格は車種やグレードによって大きく変わってきます。基本的には大型の車両を借りるほど、本体価格部分の費用が高くなるため、リース料も高くなります。また、冷凍車など特殊な設備が付与されているトラックも費用が高くなる傾向にあります。
自動車税と重量税
リース契約の料金には、自動車税や重量税が含まれる契約が多いです。自動車税は、車両の所有者が支払う税金であり、車両の種類や年式、地域などによって異なります。
重量税は車の重量や車種、経過年数に応じて徴収される税金です。これらの税金はリース対象の車両と期間によって発生する税額がおおむね決まるため、あらかじめリース料に含まれている場合が多いのです。
自賠責保険
自賠責保険は、事故を起こした際に、被害者に対して支払う保険金を含む保険の一種です。自賠責保険は車両保有者(レンタカーやリースで一時的に利用する場合も含む)の加入が義務付けられています。
リースで車両を利用するときに自賠責は欠かせないため、トラックリースの料金に含まれている場合が多いです。なお、自賠責は対人の賠償だけが補填範囲であり、限度額も1人当たり3000万円(死亡の場合)にとどまります。相手に重大な被害をもたらした時には、賠償額を賄いきれないリスクが高いため、次に紹介する任意保険と合わせて加入を求められるのが一般的です。
任意保険料
トラックリースの契約には任意保険料が含まれる場合もあります。また、含まれていなくとも、オプションなどで任意保険つきのプランを用意しているリース会社もあります。
任意保険は、対人・対物賠償、自分のケガに対する補償、搭乗者傷害補償など、自賠責、自損事故補償や車両保険など、自賠責よりカバー範囲が広いのが特徴。また、補償限度額も高額で、特に対人・対物は無制限の保険もあります。
トラックを使用する事業を安定的に営むうえでは、任意保険に加入したほうがよいでしょう。ただし、自分で任意保険に加入することもできるので、任意保険込のリース契約を利用すべきかどうかは、費用対効果をふまえて慎重に検討していください。
メンテナンス費用
メンテナンス費用については契約により含まれる場合、含まれない場合の双方があります。自社でメンテナンス設備を章有している場合には、メンテナンスを自前で賄った方が割安になる場合もあるので、状況に合わせて使い分けてください。
なお、具体的にメンテナンス費用というと、一般的には車両の点検、整備、修理、車検代などが含まれますが、細かい内容はリース契約やリース会社によって異なるので、契約前に確認しておきましょう。
トラックリース料金に含まれていないもの
トラックリース料金に含まれないもので特におさえておきたいのは燃料費です。走行距離が延びてくると、トラックを使用する企業にとって重い負担となりますが、ほとんどの場合リース料金に含まれないので、トラックを使用する際のコストを見積もる時には注意しましょう。
また、洗車や内装のクリーニングなどは一見メンテナンスの一環のように思えますが、自費で賄わなければならないケースが多いです。リースは契約が年単位になることもあるため、現実的には時折洗車が必要になるでしょう。
その他、メンテナンス費用については全てをカバーしていないケースもあります。例えば契約期間にわたって使用できる状態のタイヤが付いている場合は、タイヤ交換を前提としないため、メンテナンス費用に含まれていない可能性があります。
もし想定外のトラブルでパンクなどを引き起こした場合、その分の交換や修理は自費となるでしょう。
トラックリース料金の相場
トラックリースの料金相場は、車両のタイプやサイズによって大きく異なります。また、リース会社や契約内容によって差が付くこともあります。ここでは一例として、タイプ別の価格の目安をクロネコヤマトリース、サイズ別の価格目安をトラックリース&ローンドットコムを参考に紹介します。
アルミウィング
アルミ製の箱型コンテナがくっついた大型トラックです。コンテナの両サイドが開くタイプが多く、荷物が多くても素早く積み下ろしできるのが特徴となっています。同タイプの料金相場は5年契約で月35万円程度です。
アルミバン
アルミ製の荷台がついた大型トラックです。アルミウイングとの違いは、両開きにはならず、車両の後ろから荷物を出し入れする仕組みになっている点です。車両によっては横にも扉が付いていて、積み下ろしできます。同タイプの料金相場は5年契約で月35万円程度です。
平ボディ
荷台が平らで屋根のついていないトラックです。固定方法を工夫すれば、高さのある荷物なども運ぶことができます。こちらも5年契約で月額35万円程度です。
冷凍冷蔵庫
荷台に冷凍冷蔵機能がついたトラックです。生鮮食品や冷凍食品など、低温で保って鮮度を維持しなければならない荷物の運搬に使用します。こちらはやや高く、月40万円程度です。
サイズによるリース価格の目安
サイズに比例してリース価格は高くなる傾向にあります。2023年4月現在は、トラックリース&ローンドットコムに掲載されているトラックを参考にすると2tで5万円~11万円程度(月額・税抜き。以下も同様)、4tで10万円~25万円程度、10t超では16万円~39万円程度です。
トラックリースを使用するメリット
トラックリースは初期費用がかからず、月々のコストも見積もりやすいなどのメリットがあります。契約内容によっては管理・メンテナンスの手間も省けます。ここからはトラックリースのメリットをみていきましょう。
初期費用を抑えられる
トラックリースは、初期費用が少なく済むため、事業者の経済的負担が軽減されます。特に、トラックを現金購入する場合と比べれば、当面のコスト削減に有効です。一方で購入する場合もローンを活用すれば初期費用を抑えることはできるため、将来のコストも踏まえてどちらがより経済的かを見積もったうえでリースの利用を検討しましょう。
リース料金を全額経費として計上できる
トラックリースにおいては、一般的にリース料金を全額経費として計上できます。すなわち各年の利益を圧縮して法人税などを抑える節税効果があります。購入した場合は耐用年数に応じて減価償却していく必要があることから、特に耐用年数が長い新車の場合は、リースよりも費用できる部分が限られる場合がります。
トラックに関する費用を見積もりやすい
トラックリース契約においては、リース料金にメンテナンス費用や修理費用が含まれる場合があります。トラックの維持・管理にかかるコストの多くを定額化できるため、月々にかかるトラック関連の費用を予見しやすくなります。精度の高い収支見通しをたてるうえで便利です。
トラック管理の手間が省ける
トラックリース契約においては、トラックの点検や整備をリース会社に任せることができます。メンテナンスリース契約を結ぶ場合、メンテナンスの責任はリース会社に生じるため、契約者はトラックのメンテンナンスを行う必要はなくなります。特に自社にメンテナンス設備やノウハウがない企業の場合は大きなメリットといえるでしょう。
トラックリースを使用するデメリット
トラックリースにはメリットが多くある一方で、デメリットも存在します。基本的に長期間の契約が前提となっていることや、途中解約が難しいことなどが主なデメリットです。デメリットもおさえたうえでトラックリースの利用を検討しましょう。
年単位の長期契約が基本
トラックリース契約は年単位の長期契約を基本としているリース会社が多いです。契約期間中にトラックの利用状況が変わっても、契約内容の変更が困難なため、契約の内容や期間を慎重に考慮してください。また、契約不備や認識相違があっても長期間契約を見直せない可能性があるため、契約内容を充分に確認のうえ契約に進む必要があります。
ランニングコストが契約期間にわたって発生する
トラックを購入する場合、ローン支払いが済めば、車両本体の費用はかからなくなります。もし全額現金購入であれば、当初より、かかる費用はメンテナンス費用や税金などの維持費のみですみます。しかし、リースは契約金全体にわたって月額のリース料が発生します。長期契約になると購入するよりも却って割高になる場合も考えられるので、購入とリースどちらが合理的かを比較検討することが大切です。
解約には高額な違約金が発生する場合がある
トラックリース契約を途中で解約をする場合には違約金が発生する場合が多いです。違約金の金額は契約内容によって異なりますが、満了まで契約を維持した場合と総支払額があまりかわらないほど高額な違約金が設定されている契約も。違約金の金額をおさえたうえで、契約期間にわたって解約する事態に陥らないよう、自社に合った契約内容と契約期間のリース契約を利用しましょう。
所有感がなく、車両のカスタマイズができない
トラックリース契約はトラックを所有するわけではないため、独自のカスタマイズや設備の付与などができません。塗装程度なら可能な場合もありますが、返却する際には原状回復が求められます。
トラックリース、レンタル、中古車購入どれがおすすめ?
トラックを手に入れる方法には、主にトラックリース、レンタル、中古車購入の3つの方法があり、事業者の状況やニーズによって適した手法は変わってきます。それぞれのおすすめなケースについてまとめました。
トラックリースがおすすめなケース
トラックリースのおすすめの場面は、以下のようなケースです。
初めてトラックを使用する事業を始める場合
初めてトラックを入手して、事業を始める場合はトラックリースがおすすめです。リースなら初期費用が少なく毎月のコストも安定するため、事業規模が小さい時の収支の安定化につながります。また、メンテナンスや修理費用が含まれていて、トラックの管理の手間が省け、また大がかりな整備場も不要になるため、小規模で事業を営むうえで設備投資を抑えられます。
1年~数年程度の需要に対応する場合
数年以内程度の期間でトラック設備の増強が必要となる場合にもトラックリースがおすすめです。例えば、期間が決まっている建設プロジェクトへの対応のために、しばらくの間だけ多くのトラックを必要とする場合などが考えられます。
業界の変化が激しい場合
業界の変化が激しく、質の高い設備を搭載したトラックを使用したい場合にもトラックリースがおすすめです。トラックリースの場合、リース期間が終了した時点で新しい車両に乗り換えることができるため、常に最新の設備を搭載した車両を利用することができます。
トラックレンタルがおすすめなケース
トラックレンタルのおすすめの場面は、以下のようなケースです。
短期間での利用が必要な場合
トラックを短期間で利用する場合には、トラックレンタルがおすすめです。レンタル料金は、トラックリースに比べて初期費用が少なく、契約期間も短く済ませることができます。数日~数か月以内程度の期間であれば、リースよりもレンタルの方が優位となるでしょう。季節性のある荷物の運搬など、需要が短期間だけ増加する場合には、トラックレンタルを利用して必要な数だけトラックを借りるのも有効な選択肢の一つです。
新規事業の立ち上げ時
新規事業を立ち上げる場合、トラックの保有やリース契約をする前に、トラックレンタルを利用して必要な期間だけトラックを借りることができます。、このように事業の立ち上げ時には、レンタルが費用負担を減らす手段の一つとなります。
トラックの故障時の代替車として
トラックの故障時には、代替車が必要となります。トラックレンタルを利用すれば短期間で代替車を手配することができます。これにより作業を止めずに業務を継続することができます。
中古トラック購入がおすすめなケース
中古トラック購入がおすすめな場面は、以下のようなケースです。
長期間利用する場合
トラックを長期間にわたって利用する場合には、中古トラック購入がおすすめです。初期費用はリースやレンタルに比べて高くなりますが、利用期間が長い場合はトータルの費用が安くなる可能性があります。5年~などローン返済を終えても当面使用を継続すると想定される場合には、購入したほうが経済的となるでしょう。
車両のカスタマイズが必要な場合
トラックの種類や車体の仕様、機能性などによって、自社の業務に合わせたカスタマイズが必要な場合があります。レンタルは一切カスタマイズできなケースが多いですし、リースも原状回復ができる程度にカスタマイズが制限されている契約がほとんど。業務特性やブランディングなどの観点で大掛かりなカスタマイズが必須なのであれば、車両を購入したほうがよいでしょう。
大手で保険やメンテナンスを自社対応できる場合
既にトラックを大量所有していて、お得意先の保険会社がある、整備工場も充実している大手の企業は、リース契約に保険料やメンテナンスが含まれているメリットを感じにくいでしょう。この場合も中古トラックを所有して自社管理したほうが、トータルコストを抑制できる可能性が高くなります。
トラックリースの料金の特徴をおさえて賢く利用しよう
トラックのリース料金には車両本体の価格だけでなく、一部の税金や、メンテナンス費用、保険料などが含まれる場合があります。一方で、メンテナンスを自分で賄って費用を圧縮する契約が可能な場合もあるので、自社にとって都合の良い方法で契約しましょう。
トラックリースの料金は車種やサイズによって大きく異なるため、用途をふまえて最適な車種を選んで、不必要に高いリース料を支払わずに済むように注意してください。
また、トラックを入手する方法はリースのほかにレンタル・中古車購入などもあります。使用期間やメンテナンスをおこなう場所・ノウハウ有無、カスタマイズの要否などをふまえながら、最適な方法を活用してください。高額になりがちなトラックの調達やメンテナンス方法を工夫して、効率的な事業経営につなげていきましょう。