ファクタリングを利用するにあたって、最も注意すべきは、ファクタリング業者を装うヤミ金(闇金)がいるということです。
そのため、ファクタリング業者かヤミ金かを見分けなければなりません。
というのは、ヤミ金に引っかかると、大きな被害を受ける可能性が高いからです。
そこで、この記事では、ファクタリング業者を装うヤミ金(闇金)の特徴と見分け方を徹底解説します。
ファクタリング業者を装うヤミ金(闇金)とは
ヤミ金(闇金)とは、財務局長または都道府県知事から貸金業の登録を受けていない業者はもちろん、法定の上限金利を超える違法な金利で貸付を行う貸金業者のことです。
ヤミ金の規制は、法定の上限金利を引き下げたり、取締りを強化したりするなど厳しくなっているため、ヤミ金の違法貸付は、やりにくくなっています。
そこで、ヤミ金が目を付けたのがファクタリングです。
というのは、ファクタリングには貸金業のような登録が必要なく規制する法律がないことから、ファクタリング業者を装えば、違法貸付がやりやすいからです。
そのため、ヤミ金はファクタリング業者を装うようになったので、問題になっています。
ヤミ金(闇金)がファクタリング業者を装う理由
ヤミ金(闇金)がファクタリング業者を装う理由としては、次の2つの点が考えられます。
- ヤミ金に対する規制や取締りが強化された
- ファクタリングは登録制ではない
ヤミ金(闇金)に対する規制や取締りが強化された
ヤミ金(闇金)に対する規制としては、2010年6月から改正貸金業法が施行され、貸付の上限金利が20%に引き下げられたことが挙げられます。
具体的には、出資法の上限金利が29.2%から20%に引き下げられたことにより、上限金利が20%になり「グレーゾーン金利」が撤廃されたのです。
「グレーゾーン金利」とは、出資法と利息制限法の金利差のことで、出資法の29.2%を超えなければ、刑事罰が科せられなかったことから、多くの金融業者がグレーゾーン金利を設定していました。
ただし、上限金利を引き下げたとはいえ、ヤミ金は上限金利を大幅に超えた違法金利を設定するため、国は取締りを強化しています。
ファクタリングは登録制ではない
貸金業を始めるには、財務局長または都道府県知事から貸金業の登録を受ける必要があります。
つまり、貸金業の登録を受けていない貸金業者は、ヤミ金(闇金)になります。
貸金業の登録を受けているかどうかは、金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」を利用すれば、すぐにわかります。
というのは、登録番号と商号などを入力すれば、登録業者かどうかがわかるからです。
このように、ヤミ金かどうかはすぐにわかりますが、ファクタリング業者がヤミ金かどうかはわかりません。
ファクタリングでは、貸金業のような登録制を導入していないからです。
そこにつけ込んだのが、ヤミ金です。
つまり、ヤミ金がファクタリングを装う最大の理由は、貸金業のような登録制を導入していないからです。
ヤミ金(闇金)がファクタリング業者を装う具体例
ヤミ金(闇金)がファクタリング業者を装う具体例として、2つのファクタリングを解説します。
- 偽装ファクタリング
- 給与ファクタリング
偽装ファクタリング
偽装ファクタリングとは、見かけ上は通常のファクタリング取引ですが、本来ファクタリング業者が負うべき未回収リスクをファクタリング利用者に負わせる取引です。
こうなると、ファクタリングではなく、売掛債権を担保とした貸付になるため、ヤミ金が悪用するのです。
偽装ファクタリングを回避するには、契約書が金銭消費貸借契約ではなく、債権譲渡契約であることを確認することが重要です。
というのは、本来ファクタリングは債権譲渡契約であり、金銭消費貸借契約となっている場合は、貸付になるためです。
この場合、この業者はヤミ金なので、契約したらヤミ金の被害に遭ってしまいます。
給与ファクタリング
給与ファクタリングとは、個人の給与(勤務先に対する賃金債権)を譲渡することによって、給料日前に現金化できるファクタリングのことです。
ただし、給与ファクタリングは貸付に該当するため、給与ファクタリングを実施するには、貸金業の登録を受ける必要があります。
給与ファクタリングは、貸金業の登録を受けていないヤミ金によって悪用され、上限金利を超えた貸付や違法な取立てなどの被害が続出しました。
実際、地方自治体の消費生活センターには、給与ファクタリングのトラブルに関する相談が寄せられています。
具体的には、家族や勤務先への取立てや法外な上限金利などヤミ金による被害の相談が多くなっています。
このように、給与ファクタリングは社会問題となり、2020年3月には金融庁、裁判所が相次いで、給与ファクタリングは貸金業に該当するという見解を示しました。
その結果、2020年7月には、給与ファクタリングを実施していた業者が初めて摘発されるに至ったのです。
現在では、給与ファクタリングをサービスとして提供している業者は、ほとんどありません。
もし、ネットやSNSで給与ファクタリングを実施している業者を見かけたら、ヤミ金と見てほぼ間違いありませんので、要注意です。
ヤミ金(闇金)がファクタリング業者を装っていた事例
ファクタリング業者を装ったヤミ金(闇金)が摘発される場合の逮捕容疑は、ほとんどが「貸金業法違反(無登録営業)」や「出資法違反(超高金利)」になります。
つまり、貸金業の登録を受けずに営業していたり、違法な金利で貸付していたりしたことが発覚すれば、摘発されるということです。
ここでは、ヤミ金がファクタリング業者を装っていた4つの事例を解説します。
ファクタリング業者を装ったヤミ金(闇金)、全国初の摘発(2017年1月25日)
摘発された業者 | 東洋商事、MINORI(東京都中野区) |
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逮捕容疑 | 貸金業法違反(無登録営業)(出資法違反(超高金利)容疑でも捜査) |
逮捕者 | 元経営者ら男8人 |
管轄 | 大阪府警生活経済課 |
ファクタリング業者を装ったヤミ金(闇金)が摘発された全国初の事例です。
融資をしていたにもかかわらず、貸金業の登録を受けていない貸金業法違反(無登録営業)容疑で摘発されました。
2015年(平成27年)から2016年(平成28年)にかけて、全国で約250社の中小企業などに対して、総額3億円以上を貸し付け、1億円以上の利益を得たとされています。
単純計算しても、33.3%という違法な金利で融資しているので、出資法違反(超高金利)でも捜査されました。
参考:産経ニュース
約40~48倍の違法金利で貸付(2017年5月23日)
摘発された業者 | みかど企画、クレイキャピタル(東京都中野区) |
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逮捕容疑 | 貸金業法違反(無登録営業)、出資法違反(超高金利) |
逮捕者 | 7人(経営者ら2人を再逮捕、男女5人を逮捕) |
管轄 | 大阪府警生活経済課 |
具体的には、滋賀県内の会社会長など2人に、60万円を貸し付け、25万円を受け取っていたとされています。
つまり、約42%という違法な金利で貸し付けていたということです。
参考:産経ニュース
コンサルティング会社によるヤミ金(闇金)(2019年9月25日)
摘発された業者 | 高橋企画(東京都豊島区) |
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逮捕容疑 | 貸金業法違反(無登録営業)、出資法違反(超高金利) |
逮捕者 | 11人(コンサルティング会社社長の男ら) |
管轄 | 千葉県警及び岩手県警合同捜査本部 |
中小企業の経営者5人に対して、約13~47倍の違法金利で貸し付けていました。
このケースの場合、コンサルティング会社がファクタリングを装ったヤミ金をしていたというところがポイントです。
実際に、コンサルティング会社の経営とともに、ファクタリングを実施している業者は存在しています。
そのため、ファクタリングの手数料が適切かどうか、債権譲渡ではなく融資になっていないかを見極めることがポイントになります。
参考:朝日新聞デジタル
一般社団法人によるヤミ金(闇金)(2021年2月5日)
摘発された業者 | 一般社団法人ハートフルライフ協会(東京都中央区) |
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逮捕容疑 | 貸金業法違反(無登録営業)(出資法違反(超高金利)容疑でも捜査) |
逮捕者 | 男6人(一般社団法人ハートフルライフ協会の幹部ら) |
管轄 | 警視庁生活経済課 |
香川県や宮城県の中小企業の経営者ら5人に対して、8~34倍の違法金利で貸し付けていました。
このケースでは、一般社団法人がファクタリングを装ってヤミ金をしていたというところがポイントです。
もともと一般社団法人を設立するには、官公庁による許可が必要だったのですが、現在は無許可で設立可能となっています。
そのため、一般社団法人といえども、完全に信頼しないよう注意してください。
参考:朝日新聞デジタル
ファクタリング業者を装うヤミ金(闇金)の特徴と見分け方
ファクタリングを利用するにあたっては、ファクタリング業者を装うヤミ金(闇金)を避ける必要があります。
そのためには、本来のファクタリング業者とファクタリング業者を装うヤミ金を見分けなければなりません。
そこで、ファクタリング業者を装うヤミ金の特徴を把握することが重要になります。
ここでは、ファクタリング業者を装うヤミ金の特徴と見分け方を解説します。
ファクタリング業者を装うヤミ金の特徴と見分け方は、次のようになります。
- 手数料が高すぎる
- 債権譲渡契約ではなく、金銭消費貸借契約を締結しようとする
- 契約書を作らない・渡さない
- 契約内容を説明しない
- 「給与ファクタリング=ヤミ金」である
- 甘い文句で誘う
手数料が高すぎる
ファクタリングの手数料相場は、次のようになります。
- 2社間ファクタリング:10~30%程度
- 3社間ファクタリング:1~9%程度
これらの相場より明らかに手数料が高かったら、ヤミ金(闇金)の可能性がありますので、要注意です。
債権譲渡契約ではなく、金銭消費貸借契約を締結しようとする
ファクタリングは債権譲渡であるため、債権譲渡契約を締結します。
一方、ファクタリング業者を装うヤミ金(闇金)は、債権譲渡契約ではなく金銭消費貸借契約を締結しようとします。
というのは、金銭消費貸借契約とは、融資する際に結ぶ契約だからです。
債権譲渡契約か金銭消費貸借契約かを見分けるには、業者が作成した契約書を確認する必要があります。
通常、契約書の一番上にどちらかの契約書名が明記されているので、一目瞭然です。
契約書を作らない・渡さない
ファクタリング業者を装うヤミ金(闇金)の特徴として、契約書を作らない・渡さないことが挙げられます。
ファクタリング業者を装って、貸付をしようとしているのですから、契約書を作らなかったり、渡さなかったりするのは当然です。
というのは、ヤミ金だとバレてしまうからです。
契約内容を説明しない
ファクタリング業者を装ったヤミ金(闇金)が契約書を作らないし、渡さないのは、契約内容を説明したくないからです。
つまり、ファクタリングを装った貸付であることを知られたくないのです。
通常のファクタリングを利用する際には、ファクタリング業者は債権譲渡契約書を作成し、ファクタリングの利用者と業者が1通ずつ保管します。
さらに、債権譲渡契約書を手渡す際には、契約内容を説明してくれます。
もし、わからないところがあったら、わかるまで質問するべきです。
というのは、ファクタリング業者には、利用者への説明責任があるからです。
そのため、契約内容を説明しない場合は、ヤミ金だと疑ってください。
「給与ファクタリング=ヤミ金(闇金)」である
すでに解説したとおり、給与ファクタリングは貸付であるため、貸金業の登録を受けなければなりません。
給与ファクタリングを実施していたのは、ほとんどがヤミ金だったことから、「給与ファクタリング=ヤミ金(闇金)」という式が成り立ちます。
2023年2月現在、給与ファクタリングを実施している業者はほとんどありませんが、もしネットやSNSで給与ファクタリングの広告を見かけても、手を出してはいけません。
甘い文句で誘う
ファクタリング業者を装うヤミ金(闇金)に限らず、ヤミ金のやり方として、電話やSMS、SNSのダイレクトメッセージなどを使って、甘い文句で誘ってきます。
例えば、「即日融資」「審査なし」「100%融資可能」「フリーター、主婦歓迎」「ブラックOK」などの誘い文句を使ってきます。
ファクタリングにもかかわらず、「即日融資」を使っているとしたら、ヤミ金の可能性が高いです。
「審査なし」「100%融資可能」は、ファクタリングでも、通常の融資でもあり得ないことなので、ヤミ金確定です。
「フリーター、主婦歓迎」「ブラックOK」は、カードローンなどの借入れが難しい人に向けた誘い文句になります。
どうして自分にヤミ金から誘いがあるのだろうと疑問に思っている方もいるかと思いますが、絶対にヤミ金の誘いに乗ってはいけません。
ヤミ金(闇金)に騙されないための契約書における見るべきポイント
ファクタリング業者を装うヤミ金(闇金)の特徴と見分け方を解説しましたが、中でも重要なのが契約書です。
というのは、契約書を見れば、ファクタリング業者を装うヤミ金かどうかを判断できるからです。
そのため、契約書を正確に把握することができれば、ヤミ金に騙される可能性は、限りなく低くなります。
そこで、ここではヤミ金に騙されないための契約書における見るべきポイントについて、解説します。
ヤミ金に騙されないための契約書における見るべきポイントは、次のようになります。
- 手数料が高すぎないか
- 債権譲渡契約か、金銭消費貸借契約か
- 償還請求権なし(ノンリコース)か
- 担保や保証人は不要か
手数料が高すぎないか
ファクタリング業者を装うヤミ金(闇金)の特徴と見分け方でも解説しましたが、契約書の中で最も重要なポイントの1つが、「手数料が高すぎないか」という点です。
というのは、貸付の際、上限金利を超えた法外な金利を設定することが、ヤミ金の最大の特徴だからです。
そのため、契約書を渡されたら、手数料が高すぎないかを確認してください。
債権譲渡契約か、金銭消費貸借契約か
一般的に契約書の表題(タイトル)は、1ページ目の一番上に記載されています。
そこに、「債権譲渡契約」と記載されていれば、ファクタリングの契約書になります。
一方、「金銭消費貸借契約」と記載されている場合、貸付の契約であるため、ファクタリング業者を装うヤミ金(闇金)だと判断できます。
つまり、「金銭消費貸借契約」は、ファクタリングの契約書ではないことから、ファクタリング業者を装うヤミ金と判断できるということです。
償還請求権なし(ノンリコース)か
償還請求権とは、売掛先が売掛金の支払いができなくなった場合に、ファクタリング業者がファクタリング利用者に対して請求できる権利のことです。
ファクタリングは、原則償還請求権なし(ノンリコース)となっています。
そのため、償還請求権ありの場合は、ファクタリングを装ったヤミ金(闇金)の可能性が高いということになります。
償還請求権ありの場合、ファクタリングではなく、売掛債権を担保にした貸付になるため、上限金利を超える金利は違法となります。
担保や保証人は不要か
ファクタリングは、債権譲渡なので、担保や保証人は不要です。
逆に担保や保証人が必要という時点で、融資になってしまいますので、ファクタリング業者を装ったヤミ金と判断できます。
そのため、契約書に担保や保証人が必要との記述があったら、契約しないでください。
ヤミ金(闇金)の被害に遭った場合の対処法
ファクタリング業者を装うヤミ金(闇金)の特徴と見分け方、契約書における見るべきポイントなどを解説してきました。
しかし、ヤミ金の手口は巧妙なため、被害に遭ってしまうおそれがあります。
そこで、ヤミ金の被害に遭った場合の対処法を解説します。
ヤミ金(闇金)専門の弁護士に相談する
ヤミ金(闇金)の被害に遭った場合の対処法として挙げられるのは、ヤミ金専門の弁護士に相談することです。
ヤミ金の被害に遭ってしまったと気づいたら、できるだけ早く相談することをおすすめします。
というのは、ヤミ金から借入れしてしまうと、法外な金利のため借金が膨れ上がってしまい、家族や職場への悪質な取立てなどの被害が広がってしまうおそれがあるからです。
そもそも、貸金業の登録を受けずに貸付を行い、違法な金利で貸付を行うヤミ金は違法のため、借金を返済する必要はありません。
ヤミ金から借金をした時点で、ヤミ金専門の弁護士に相談することが、最善の対処法になります。
まとめ
この記事では、ファクタリング業者を装うヤミ金(闇金)の特徴と見分け方を徹底解説しました。
ファクタリングは資金調達するには、大変役に立つ手段ですが、ヤミ金がファクタリング業者を装っていることがあるというデメリットがあります。
しかし、ヤミ金の特徴と見分け方を把握することができれば、ヤミ金を避けることができます。
ヤミ金を見分けるポイントは、手数料(金利)と契約書です。
ファクタリングの手数料が高すぎず、契約書の見るべきポイントを確認すれば、ヤミ金を見分けることができます。
この記事が、ファクタリング業者を装うヤミ金の特徴と見分け方を把握する際の参考になれば幸いです。