近年、ファクタリングサービスの利用が拡大しています。コロナウィルス蔓延に伴い、企業の資金調達が困難になる中、売掛金を即時現金化できるファクタリングサービスは企業にとって非常にありがたい存在となっているようです。
しかしながら、ファクタリングサービスのネックはその手数料の高さと言われています。いったいどのぐらいの金額なのでしょうか?この記事ではファクタリングサービス手数料の詳細と少しでも安価にするために取るべき対策について詳しく解説します。
これからファクタリングサービスを利用する方は是非この記事を読んで参考にしていただければ幸いです。
ファクタリングサービスとは?
そもそもファクタリングサービスとはどのようなサービスなのでしょうか?
ファクタリングサービスとは、顧客からの支払いを待たずに資金調達できる便利なサービスです。近年多くの企業で利用が拡大しています。
通常、仕事の検収後、顧客からの支払いは1か月~2か月後になるのが通常ですが、企業によってはその前にどうしても資金が必要となるケースも出てくるでしょう。ファクタリング会社はこのような「売掛債権」を、手数料を引いた金額で買い取りし、後程顧客から債権回収してくれるサービスです。
即時購入してくれることで顧客からの入金をまたずに資金を手に入れることができるので、入金前に必要な返済や支払いに対応出来、経営を継続できるわけです。
ファクタリングサービスの種類
ファクタリングサービスには、大きく2種類のサービスがあります。1つ目は2社間ファクタリング、そしてもう一つは3社間ファクタリングです。この2つのサービスについて詳しく解説します。
2社間ファクタリング
2社間ファクタリングは、ファクタリング会社と利用会社の2社間で締結するサービスです。利用者はファクタリング会社に対し売掛債権の債権譲渡を実施、ファクタリング会社は、債権額から一定の手数料を差し引いた金額を利用者に支払います。
利用者は取引先から売掛金を回収後、ファクタリング会社に支払うことで取引が完了となります。3社間ファクタリングと比べ、取引先に利用を知られず利用できる点が特徴となります。
3社間ファクタリング
3社ファクタリングサービスは、ファクタリング会社と利用会社、利用会社の取引先(売掛金支払い元)の3社で契約するサービスです。2社間と大きく違う点は、売掛金を取引先がファクタリング会社に直接支払う点です。
後程説明しますが、売掛金を支払う取引先も契約に加わることで2社間ファクタリングより信用度が高くなるため、その分手数料も安価である傾向が高くなっています。
ファクタリングサービスを利用するメリット
企業にとって助けになる存在であるファクタリングサービスですが、利用するメリットはどのような点なのでしょうか?ここでは3つのメリットについて解説します。
現金化がすぐに手に入る
1つ目のメリットは、即時現金を手に入れられる点です。
ファクタリングサービスを利用すれば、最短、わずか数時間で現金を手に入れることができます。銀行系ローンやカードローンでも概ね1時間程度は必要となる中、この時間はファクタリングサービスの大きなメリットといえます。
ファクタリングサービスを利用する多い理由の1つは、企業が現金で資材購入が必要なケースです。企業は即時資材購入が必要であるが、売掛金の支払いがまだされておらず資金難に陥ることがあります。このようなケースの場合、ファクタリングサービスを利用し即時資金調達できるわけです。今すぐ資材購入が必要だが、と困っている企業にとってこれはうれしいサービスといえるでしょう。
負債が増えない
2つ目のメリットは、企業として負債が増えない点です。
企業にとって、負債額が増えることは、企業信用度を下げる要因となりえます。特に株式会社では決算時に負債額を開示する義務があり、借金額が増えることは企業信用度や株価に直接影響する重要なポイントとなります。
これに対しファクタリングサービスとは、あくまでも企業が売掛金債権をファクタリングサービスに譲渡し現金を手に入れる為のサービスです。これは、ローンのようにお金を「借りる」わけではありませんので会社の負債は増えません。これにより企業が開示すべき負債額は増加せず、企業の信用情報の低下につながらない点も大きなメリットとなるのです。
担保や保証は不要
3つ目のメリットはファクタリングサービスを利用する際、担保や保証は必要ない点です。
ファクタリングサービスは、仕事の売掛債権を譲渡することで資金を得るサービスであり、銀行や消費者金融ローンのように利用にあたり担保や保証は必要ありません。ファクタリング会社は、売掛債権を使い、一定期日経過した後、売掛元会社から売掛金を回収できるため、ローンや担保は必要ないのです。
利用者は不動産担保や連帯保証人などを準備する必要がなく、手間だけでなく精神的な負担も軽減できるわけです。
ファクタリングサービスを利用するデメリット
多くのメリットがあるファクタリングサービスですが、ローンと比べデメリットはないのでしょうか?1点だけ大きなデメリットがあります。それは手数料が高額であるという点です。
手数料が高額
ファクタリングサービスの一番のデメリット、それは手数料の高さです。一般的にローンなどの借金と比べファクタリングサービスの手数料は高額となっています。これはファクタリングの特性上、どうしても未回収リスクが高くなる傾向にあることに起因しています。
一般的な銀行ローンであれば金額にもよりますが、法定金利(14.6%)以内となり、さらに事業ローンであれば数%程度となるのが一般的です。
これに対し、ファクタリングサービスは、数%から最大30%と非常に高額な手数料となるケースもあります。このため、緊急で資金調達が必要な場合以外では利用するか否かを慎重に検討すべきともいえるのです。
ファクタリングサービスの手数料の相場は?
それではこの記事の本題である、ファクタリングサービスの手数料について解説しましょう。ファクタリングサービスの手数料は本当に高いのでしょうか?実際のところ、利用するサービス形態によって異なるようです。
ここではファクタリングサービスの手数料の相場について、2つのサービス方式「2社間ファクタリング」「3社間ファクタリング」それそれについて詳しく解説します。
2社間ファクタリングの場合
2社間ファクタリングを利用した場合、その手数料は10%~30%と一般的に高めな傾向にあるといわれています。これは、利用会社側から提出した資料を基に審査しており、実際に支払いをする取引先との話ができているわけではありませんので、未回収リスクが高くなるからです。
通常の方法で債権を回収できない場合、ファクタリング会社は保証会社を使うか、自社で負債を被る必要がありますが、どちらもファクタリング会社からすれば非常に問題がある行為と言えます。
3社間ファクタリングの場合
3社間ファクタリングの場合、その手数料は1%~10%程度となり、2社間ファクタリングより安価となります。また、一般的なローンと比べても大きな差がない金額と言えます。
その理由は売掛金を支払う取引先が契約にはいることで、ファクタリング会社からすれば回収できる可能性が非常に高くなるためです。これによりファクタリング会社としてもより利用しやすい安価な手数料に抑えている傾向にあります。
ファクタリング手数料の割合はどうやって決まるのか?
利用するサービス、売掛金、利用者毎で異なるファクタリングサービスの手数料ですが、その割合はどのように決められているのでしょうか?ファクタリングの手数料率は、大きく3つの要因によって決められています。ここではその要因について詳しく解説します。
売掛先の信頼性
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1つ目は売掛先、すなわち取引先企業の信用度です。具体的には企業業績や負債額、信用情報などから判断します。
先にもお話ししましたが、ファクタリング会社側が債権買取する唯一の判断ポイントは、「未回収リスク」の割合です。支払元の企業業績がよければそれだけ未回収リスクは下がりますが、業績の悪い企業であれば逆に高まります。当然未回収リスクの低い、優良企業の債権のほうが手数料も安価になるというわけです。
売掛金の金額
2つ目は売掛金の金額です。売掛金の金額が高額になればなるほど手数料割合は低くなる傾向にあります。
これは、ファクタリング会社側からすれば1回に買い取る手間に対し、少しでも高額な債権であればあるほど得られる手数料額は大きくなるため、少しでも利用しやすくするために考えられているからです。しかし、いくら高額な債権であっても売掛先の信用度が低ければ逆効果であり、手数料が高額になる、買取拒否されるケースもあるのでこの点は注意する必要があります。
利用者(社)の利用実績
そして3つ目は、利用者(社)のファクタリングサービス利用実績です。利用実績が増えれば増えるほどその信用度は高くなり、利用限度額や手数料利率を下げる傾向にあります。ファクタリング会社によっては、スコアなどで信用度を提示、それに合わせて手数料率を下げている会社もあるほどです。
これはカードローンなどでも同様です。ただ、当然のことながら正しく利用し、期日までにしっかり入金することが必須条件となります。1度でも支払い遅延などが発生すれば手数料が高額になるだけでなく、利用自体が出来なくなる可能性もある為注意が必要です。
また3社ファクタリングの場合、取引先が期日までに支払わない場合、以降その取引先の債権に関する契約が出来なくなる可能性もありますので支払期日はしっかり確認するようにしましょう。
ファクタリングサービス:手数料の内訳
掛け目
掛け目とは売掛金の買取割合のことで、一般的には額面の75~90%です。回収リスクの高さに応じてその割合は低くなる、即ち額面に対し買取額が低くなる傾向にあります。売掛金が回収できれば、差額が手数料としてファクタリング会社に入ります。
買取手数料
ファクタリングサービス利用に関するサービス手数料です。
債権譲渡登記費用
債権譲渡手数料は、その名のとおり債権譲渡に必要となる証明書作成等にかかる費用です。ただし2社間ファクタリングなどはこの譲渡手続きをしないケースもありますので、必ずしも必要となる費用ではありません。
印紙代
ファクタリングサービス利用、および債権譲渡手続きに必要な印紙代です。
振込手数料
振込手数料は、ファクタリングサービス費用支払い時に実施する振込手続きの手数料です。
交通費
ファクタリングサービスは、基本的に面談することが義務付けられており、利用者(社)に面会する為に
必要な交通費も手数料に含まれます。尚、交通費は債権譲渡取引に必要な手数料という扱いになる為、消費税は免税扱いとなります。
ファクタリングサービス:手数料を安くおさえる方法
利用にあたり場合によっては高額な手数料が必要となるファクタリングサービスですが、少しでも安価にする方法はないのでしょうか?手数料を少しでも安価にする方法はあります。
ここでは少しでも手数料を安価にする5つの方法について詳しく解説します。
信用できる売掛先債権を選ぶ
1つ目は譲渡する債権について、信用度の高い取引先の売掛債権を選択することです。
ファクタリングサービスに限らず、企業の信用度は取引に不可欠な要素といえます。優良な取引先の債権は、ファクタリング会社側も未回収リスクが低く、その分低い手数料率を提示してくれます。また取引先の信用度だけでなく、御社との関係性についても問われますので、良好な関係である旨の資料を提示することが重要です。
3社間ファクタリングを使う
2つ目は3社間ファクタリングを利用する点です。
先にもお話したとおり3社間ファクタリングは2社間ファクタリングと比べ手数料が安価になる傾向にあります。これは実際に支払いする取引先が契約に入ることで、ファクタリング会社からすれば未回収リスクが低くなるためです。
しかしながら3社間ファクタリングを利用する場合、取引先に自社の業績状態を露呈し、信用問題につながりかねないため、利用する際注意が必要です。
複数のファクタリングサービスを比較する
3つ目は、複数のファクタリングサービスで手数料を比較することです。
同じサービスや金額であってもファクタリング会社によってその手数料は大きく異なります。例えば3社間ファクタリングでも手数料は1%~10%と開きがあります。2社間サービスであればさらに数%~30%と利用するサービスでその差は大きく異なります。
これは売掛金10万円に対し、同じ2社間サービスでも、A社は90,000円の買取となるのに対し、B社では70,000円と実に20,000円もの差が生じることになるといえば、その差はお分かりではないでしょうか?
複数サービスを比較することは、手にすることができる金額が大きく異なることになりますので、特に注意すべきポイントといえます。
手数料の内訳をチェックする
4つ目は、手数料の内訳をしっかりチェックする点です。
ファクタリングサービスを提供する会社は決して良い会社ばかりではありません。中には不要な手数料を搾取されているケースも多々あるといわれています。例えばリモート面接にもかかわらず交通費が含まれている、債権譲渡手数料や印紙代が通常にくらべ異常に高いなど、手数料を水増ししているケースなどです。
手数料の内訳を確認し、高額な手数料を取る業者は利用しないようにしましょう。
同じファクタリングサービスを利用して信用を得る
最後は、同じファクタリングサービスを継続利用し、ファクタリング会社の信用を得る方法です。
同じファクタリング会社でも初めて利用する利用者と何度も利用している方では手数料が異なる傾向にあり、当然のことながら、リピーターのほうが手数料が安価になる傾向にあります。これは、複数回利用している方のほうが信用度が高く、その分未回収リスクが低いと考えられているからです。
継続してファクタリングサービスを利用するのであれば、同じファクタリングサービスを継続して利用することをおすすめします。
まとめ
いかがだったでしょうか?ファクタリングサービスは債権買取という方法で早期に資金調達できる素晴らしいサービスです。
多くのメリットがある一方、使い方によってはローン利用にくらべ手数料が高いのがネックとなりますが、使い方によってその手数料をおさえる方法も多数あります。
皆様もこれを機にお得にファクタリングサービスを利用してみてはいかがでしょうか?