「ファクタリングと手形割引の違いとはなんなのか教えて欲しい。」「ファクタリングと手形割引のどちらを利用すべきか急を要するので教えて欲しい。」「それぞれのメリットデメリットを教えて欲しい。」このような疑問が急に資金繰りが悪化した企業などで多くあがります。
やはり資金繰りが悪化すると一刻を争うこともあり最善の選択を取りたいですよね。そこで今回は以下のことについて解説していきます。
- ファクタリングと手形割引の違い
- ファクタリングと手形割引のそれぞれのメリットとデメリット
- ファクタリングを利用すべきケース
- 手形割引を利用すべきケース
ファクタリングと手形割引の違いを徹底解説!
ここでファクタリングと手形割引の違いを徹底解説していきます。
現金化する対象が異なる
最も大きな違いは、現金化する対象が異なることでしょう。
ファクタリング
ファクタリングでは帳簿上の売掛金を現金化するシステムが取られています。売掛金は一般的に取引をまとめて後日代金をまとめて支払いを受け取るものです。
とはいえ取引先が支払い期日までに売掛金を支払うかは法的に保証されていません。取引先の事情によっては支払いが遅延したり支払いがなかったりなどといったことがあります。
手形割引
次に手形割引では現物の有価証券である受取手形を現金化するシステムが取られています。手形を発行するには銀行の審査を通らなければなりません。銀行の審査を通過するということは、一定の信用があるのではないでしょうか。
また受取手形が決済できなかった場合は2回目で銀行取引が停止されます。ですから、売掛金よりも支払えなかった時のリスクが大きいため未回収リスクは少ないかもしれません。
法律が適用される
手形割引は賃金業法という法律が適用されます。しかし、ファクタリングでは賃金業法という法律が適用されません。賃金業法が適用されると金利についても20%までと上限が定められており無理な貸付も禁止されています。また賃金業を行うとなれば登録が必要です。その点安心だと言えるでしょう。
償還請求権の有無の異なり
ファクタリングのような償還請求権のないサービスに対し、償還請求権のある手形割引では未回収だった場合のリスクが高いと言えるでしょう。償還請求権が手形割引には存在するため、未回収でも責任は自社で負う必要があります。一方ファクタリングでは、ファクタリング会社が何かあれば責任を負います。
手数料・金利が異なるので注意が必要
ファクタリングでは契約内容によって利用手数料に幅が出てくることはご存知かもしれません。以下におおよその手数料を記載します。
- 3社間ファクタリング:1%から20%程度
- 2社間ファクタリング:10%から30%程度
これらが相場です。3社間ファクタリングの方がファクタリング会社にとっての未回収リスクが低いため、手数料も安くなっています。
それに対して手形割引では以下のような割引料がかかります。
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- 銀行を利用した場合:年利1%から5%程度の割引料
- 賃金業者を利用した場合は年利5%から20%程度の割引料
このぐらいの料金が発生します。
問われる信用力が異なる
ファクタリングでは取引先の信用力が問われます。依頼人の信用力はあまり問われない傾向にあるでしょう。あなたがもし赤字を計上していても利用できるケースは大いにあります。ただし取引先の信用力が低い場合は、手数料が高くなることが知られています。
それに対し手形割引では双方の信用力が問われます。手形を担保にして資金を融資するという金融取引になるため致し方ないかもしれません。
現金化するスピードがファクタリングの方が早い
ここで皆さんが一番重要視するであろう現金化スピードについて解説していきましょう。ファクタリングだと最短即日、もしくは2日といった期間で現金化できます。
しかし、手形割引では銀行を通すと1週間程度もかかります。もし手形割引業者を通すならば最短で即日で可能です。とはいえ書類はファクタリングより多い傾向にあります。一刻を争う時期に書類の準備に追われるのは億劫ですよね。総じてこの点ではファクタリングの方が便利と言えるでしょう。
売掛債権を譲渡して知られる場合がファクタリングにはある
ファクタリングには3社間と2社間がありますが、3社間では売掛債権を譲渡すると知られます。知られざるをえないと言った方が正しいでしょう。ファクタリングの利用を知られると資金繰りがまずいことが知れてしまうので、信用問題に発展する可能性もあります。
一方手形割引では依頼人と手形割引業者の間で売掛債権を売買するシステムです。ですから売掛債権を売買したことは知られなくて済みます。
共通のメリット、デメリットを徹底解説!
手形割引とファクタリングの共通のメリットとデメリットを解説していきましょう。ここまで見ただけでもどちらも大変便利なサービスで魅力的なことはご理解いただけるかと思います。また共通のデメリットも一緒に見ていきましょう。
メリット
まず売掛債権を流動化することで柔軟な資金繰りが可能になることはとても良い点です。経済産業中小企業庁でも資金繰りに掛債権を流動化することを推奨しています。銀行の融資は信用問題に関わることが多いからでしょう。
次に一時的な資金の不足を解消することができる点も良いと考えます。また融資よりも早く現金化することが可能なので安心できる点も大きいでしょう。
デメリット
所定の費用がかかることがデメリットです。もちろん手元に入る現金も通常より少ないこともデメリットですし、手数料や金利が融資より高いことがネックになるでしょう。
ファクタリングのメリット、デメリットを徹底解説!
ここでファクタリングのメリット、デメリットを解説していきます。
ファクタリングのメリット
まずスムーズに現金化できることがファクタリングのメリットです。金融機関から融資を受けるとなると多くの書類を提出した上でかなりの時間を要します。ファクタリングであれば最短即日に現金を手に入れられるのは良いでしょう。
次に返金リスクがない点は良いでしょう。万が一売掛先が倒産してもファクタリング会社がリスクを負ってくれるのは安心ですね。
最後に会社の信用情報に影響を与えないことです。金融機関から融資を受けると負債が増えることにより信用情報に影響を与えることも多いことが知られています。借入金にもならない点では良いでしょう。
ファクタリングのデメリット
またファクタリングのデメリットについて2点挙げます。
まず、利用範囲が売掛債権の範囲内に限られる点です。利用範囲は売掛債権を超えることができないので、売掛債権満額を受け取ることは不可能な点が挙げられます。
さらに、手数料が高い点が挙げられるでしょう。融資などと比較するとかなり手数料が高い傾向にあります。手元に残る金額はどうしても少なくなります。金額の面では融資に勝てない点があるのは理解しておいた方が良いかもしれません。
手形割引のメリット、デメリットを徹底解説!
ここで手形割引のメリット、デメリットを解説していきます。手形割引もファクタリングと同様便利なサービスであることに間違いはありません。しかし、デメリットも存在することは確かです。まずはメリットの方から見ていきましょう。
手形割引のメリット
まず、手形の期日を待たずに早期に現金を調達できる点が良い点です。手形割引では長くても1週間ほどで現金化できるシステムです。ちなみに約束手形では3ヶ月から4ヶ月かかります。
次にファクタリングと比べると手数料が格安であることです。ファクタリングでは高いものでは手数料が30%かかることもあるのに対して、手形割引では貸金法が適用されます。手形割引では金利の上限が20%までに制限されておりそれを超えることはない点では安心でしょう。
最後に審査に比較的通りやすいことです。手形割引の審査では振出人の信用性を重視します。依頼人の会社の信用情報が必要ないわけではありませんが、審査に通る可能性は高いと言えます。
手形割引のデメリット
多くのメリットがある手形割引ですが、デメリットもあります。
まず償還請求権があることです。償還請求権があるともし不渡りになった場合に依頼者が買い戻す必要があることが挙げられるでしょう。
また、手形の額面を分割しにくいことがデメリットです。例えば200万円の手形を持っているとしましょう。しかし100万円の現金調達で済む場合も出てきます。そういった場合に200万円全額を返金しなければならないことも出てきます。ただし振出人の同意が得られれば分割できるケースもあるので同意を得られるか尋ねてみましょう。
ファクタリングと手形割引をうまく利用しよう
ファクタリングも手形割引も売掛債権を流動されて現金化ができる便利な資金調達サービスです。融資を受けたいといった際に要求される担保や保証人も必要ありません。ですから比較的母体が小さな企業でも利用しやすい可能性が高いです。
しかし便利だからといって利用のしすぎには注意しましょう。適切な利用なら問題ありませんが、過度な利用は資金繰りを悪化させます。
またファクタリングはノンリコースのに対し、手形割引はリコースであることは念頭においておいた方が良いでしょう。どちらの利用方法を使うにせよ支払い期日には気をつけたいところですね。
頻度の高い利用でなければファクタリングはとてもおすすめです。相手方の企業が倒産した場合など万が一の場合に助かる場合があります。とはいえ手形割引にもメリットは多くあり、手数料はファクタリングより安く設定されていました。
利用に応じて使い分けることも視野に入れると良いでしょう。