医療ファクタリングのメリット・デメリットとは?仕組みや利用手順を解説

医療ファクタリングのメリット・デメリットとは?仕組みや利用手順を解説

医療ファクタリングとは、医療機関が利用できる資金調達方法です。ファクタリングを知ることで即座に資金調達が行えます。即座に資金調達が必要な医療機関にとって、医療ファクタリングはとても良いサービスです。

本記事では、医療ファクタリングのメリットやデメリット、仕組みなどを解説していきます。最後まで読むことで、医療ファクタリングを賢く利用できるようになります。ぜひ参考にしてください。

そもそもファクタリングとは

そもそもファクタリングとは

医療ファクタリングの前に「そもそもファクタリングとは?」と思った方もいることでしょう。ファクタリングとは、売掛債権をファクタリング会社に売却することで手数料を差し引いた料金を即座に資金調達が行える方法です。

売掛債権の取引を行うため、信用情報などに関わらず誰でも簡単に利用できる特徴があります。簡単に利用できることから、個人事業主や中小企業からの利用が多いです。また、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングがあります。

2社間ファクタリングと3社間ファクタリング

2社間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社の間で取引が行われます。利用者とファクタリング会社の間で取引が行われるため、売掛先に知られずに即座に資金調達が可能です。

一方で、3社間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社、売掛先の3社間で取引が行われます。資金調達のスピードが2社間に比べると遅く、売掛先にファクタリングを利用していることが知られてしまいますが、手間が少ないです。

2社間に比べ、3社間ファクタリングのほうが審査に通りやすくなっています。

融資との違い

ファクタリングは、資金調達の方法であるため、銀行融資などと同じ扱いをされがちです。しかし、融資と大きな違いがあります。

ファクタリングは債権を対象にしており、一方で、融資はお金そのものを対象に取引を行います。ファクタリングと融資は対象が異なるため、同じ枠組みではありません。

また、債権を対象に取引しているため、融資のように信用情報に記録されず、審査に通過しやすいです。

ファクタリングの種類

ファクタリングには、以下の5つの種類があります。

  1. 買取ファクタリング:企業間の取引による売掛債権をファクタリング会社に売却する
  2. 保証ファクタリング:売掛先の売掛債権に対する支払いをファクタリング会社が保証する
  3. 一括ファクタリング:売掛債権を一括で金融機関が買取り、買取ファクタリングを行う
  4. 国際ファクタリング:海外の企業との取引で利用できるファクタリング
  5. 医療ファクタリング:診療報酬債権を対象としたファクタリング

本記事では、この中の医療ファクタリングに焦点を当て解説していきます。

医療ファクタリングとは

医療ファクタリングとは

医療機関の社保や国保連で発生した診療報酬を対象にファクタリングを行います。診療報酬債権を持つ医療機関のみが利用できるファクタリングです。設備を拡大したい医療機関や開業直後の医療機関の多くが利用しています。

基本的に通常のファクタリングと変わりません。しかし、取引対象が社保や国保連で発生した診療報酬債権であるため、通常のファクタリングより安全性が高いです。

医療ファクタリングの種類

医療ファクタリングには、「診療(医療)報酬債務ファクタリング」、「介護報酬債権ファクタリング」、「調剤報酬債権ファクタリング」の3種類があります。

1つ目の診療(医療)報酬債権ファクタリングは、ファクタリング対象が病院や診療所です。

2つ目の介護報酬債権ファクタリングのファクタリング対象は、介護施設になっています。

3つ目の調剤報酬債権ファクタリングは、調剤薬局を対象としたファクタリングです。

医療ファクタリングには、3種類があることを理解し、自分の場合はどれが対象なのか知っておきましょう。

医療ファクタリングを利用する5つのメリット

医療ファクタリングを利用する5つのメリット

医療機関を運営している方は、医療ファクタリングを利用するとさまざまなメリットが得られます。医療ファクタリングを利用するメリットは以下の5つです。

  1. 取引相手が国であるため安心
  2. 担保が不要
  3. 信用情報に記録されない
  4. 審査に通りやすい
  5. 償還請求権がない

それぞれ解説していきます。

メリット1.取引相手が国であるため安心

取引対象は、社保や国保連です。社保や国保連は、国によって運営されているため、破産する心配がほとんどありません。一方で、通常のファクタリングでは、対象が売掛先であるため、破産し資金調達が行えない場合もあります。

このようなことから、医療ファクタリングの取引先が破産するといった可能性は、極めて低く、安心して利用可能です。また、通常のファクタリングのように売掛先に知られることもありません。

メリット2.担保が不要

基本的に資金調達を行う場合、担保や保証人が必要になります。しかし、医療ファクタリングを利用する際に担保や保証人は不要です。対象である、医療報酬債権は高い価値を持っているため、医療報酬債権自体に担保価値が付いています。

資金調達で担保や保証人が不要なサービスを探している医療機関の運営者は、医療ファクタリングの利用がおすすめです。

メリット3.信用情報に記録されない

医療ファクタリングを利用したとしても信用情報に記録されません。なぜなら、融資と異なり医療報酬債権を対象として取引を行うからです。

一方で、融資の場合、借金であるため、利用者に返済能力があるのかを調査するために信用情報が必要になります。このようなことから、医療ファクタリングは債権を対象とした取引であり、借金ではないため、信用情報に記録されません。

メリット4.審査に通りやすい

通常のファクタリングに比べ、審査に通りやすいです。通常のファクタリングでは、取引対象の売掛先が破産する可能性があるため、調査を行います。

しかし、医療ファクタリングの取引対象は社保や国保連といった国が運営している団体であるため、破産する可能性が極めて低いです。このようなことから、医療ファクタリングの対象である医療報酬債権は信頼度が高く、調査が厳しくないため、審査に通りやすくなります。

メリット5.償還請求権がない

通常のファクタリングでは、償還請求権が適用される場合があります。償還請求権とは、売掛先が万が一、破産し売掛金が回収できない場合に責任を負わなければならないものです。ファクタリングの利用で、償還請求権により、痛い目を見てしまうといったこともあります。

しかし、医療ファクタリングでは、医療報酬債権の信頼度が高いため、返済請求がありません。このようなことから、医療ファクタリングは安心して利用できるため、医療機関の運営者で即座に資金調達が必要な場合には、利用をおすすめします。

医療ファクタリングを利用する4つのデメリット

医療ファクタリングを利用する4つのデメリット

医療機関の運営者は、医療ファクタリングを利用することでさまざまなメリットが得られます。一方で、医療ファクタリングを利用するデメリットもあるため、理解したうえで利用するようにしましょう。医療ファクタリングを利用するデメリットは以下の4つです。

  1. 手数料がかかる
  2. 限度額は基本的に債権の2カ月分
  3. 掛け目制度により即座に全額調達できない
  4. 悪徳業者も存在する

それぞれ解説していきます。

デメリット1.手数料がかかる

手数料により、医療報酬債権に記載されている全額分の資金調達が行えません。また、医療ファクタリングは3社間で行われますが、通常の3社間ファクタリングに比べ、手数料が高くなっています。

なぜなら、医療ファクタリングの対象から売掛金の回収がほぼ確実に行えるため、基本的に2社間で取引を行うからです。医療ファクタリングを利用する際には、手数料が高いことを理解しておきましょう。

デメリット2.限度額は基本的に債権の2カ月分

利用できる限度額は基本的に債権の2カ月分です。どうしても限度額以上の利用を行いたい場合、さらに高い手数料がかかってしまいます。このようなことから、あらかじめ債権2カ月分の資金調達しかできないことを理解しておきましょう。

デメリット3.掛け目制度により即座に全額調達できない

掛け目制度により一度に全額調達ができません。診療報酬を回収できない可能性は低いですが、医療機関が提出したものが全て通る可能性は100%ではありません。

売掛金を回収できなかい可能性があるため、掛け目制度を設け、即座に調達できる金額を調節しています。また、医療ファクタリングで即座に調達できる金額は、平均80%程度です。

デメリット4.悪徳業者も存在する

医療ファクタリングに関わらず、ファクタリングサービスを利用する際には、悪徳業者も存在していることを忘れてはいけません。悪徳業者は、高い手数料や違法な取引を行います。このようなことから、医療ファクタリングを利用する際には、有名なファクタリング会社を選びましょう。

医療ファクタリングの利用手順

医療ファクタリングの利用手順

医療ファクタリングは、以下の手順で利用します。

  1. ファクタリング会社に相談
  2. 申し込み
  3. 債権譲渡を行う
  4. ファクタリング会社から前払い分を資金調達
  5. ファクタリング会社に医療給付金が支払われる
  6. ファクタリング会社から前払い分以外を資金調達

それぞれ解説していきます。

手順1.ファクタリング会社に相談

まず、医療ファクタリングを行っているファクタリング会社に相談します。一つの会社だけではなく、複数の会社を比較することがおすすめです。

手順2.申し込み

ファクタリング会社が決まり、相談を行い、内容に不満がなければ申し込みます。申し込みでは、「医療報酬請求書」や「診療報酬の支払決定額通知書」、「診療報酬の支払いが確認できる通帳のコピー」などが必要になります。

ファクタリング会社に相談する際、どのような書類が必要か前もって聞いておくとスムーズにサービスが利用できるためおすすめです。

手順3.債権譲渡を行う

申し込みが問題なく行えたら、債権譲渡を行います。

手順4.ファクタリング会社から前払い分を資金調達

債権譲渡完了後、ファクタリング会社から医療報酬債権の掛け目分の資金調達を行います。前払い分の資金が間違っていないか確かめることが重要です。

手順5.ファクタリング会社に医療給付金が支払われる

社保や国保連からファクタリング会社へ書類をもとに医療給付金が支払われます。この手順では、ファクタリング会社が虚偽の報告をする可能性があるため、医療給付金がどのくらいの額なのか確かめることが重要です。

手順6.ファクタリング会社から前払い分以外を資金調達

最後にファクタリング会社から前払い分以外の資金を調達し、完了です。金額が合っているかしっかりと確認しましょう。

まとめ

まとめ

本記事では、医療ファクタリングについて解説しました。医療ファクタリングは、診療報酬債権を対象としてファクタリング会社と取引を行い、即座に資金調達を行う方法です。設備拡大や開業直後など資金が必要な医療機関の運営者に利用されています。また、医療ファクタリングは、他のファクタリングに比べ、取引対象の信頼度が高いため、安心して利用できます。即座に資金調達が必要な医療機関の運営者などは、デメリットを理解したうえで利用することがおすすめです。