ファクタリング必要書類を徹底解剖。用意できない場合の対処法は

ファクタリング必要書類を徹底解剖。用意できない場合の対処法は

ファクタリングを利用する場合、ファクタリング会社=ファクタリング会社が定めるところの必要書類を提出しなくてはいけません。具体的にどんな書類が必要かはファクタリング会社によっても異なりますが、抜け・漏れがあると申込自体ができないため気をつけましょう。

そこで今回の記事では、ファクタリングの利用にあたってどんな書類が必要になるのか、用意できない場合はどのように対処すれば良いのかをていねいに解説します。この記事を読めば、ファクタリングを利用する際の書類がわかるとともに、いざというときに慌てないように準備ができるはずです。

ファクタリングを利用する際の必要書類6種

一般的にファクタリングを利用するにあたっては、以下の書類が必要になります。

  • 商業登記簿謄本
  • 身分証明書
  • 決算書または確定申告書
  • 印鑑証明書
  • 取引銀行口座の通帳
  • 請求書、発注書、納品書、個別契約書

それぞれの書類について、詳しく解説します。

商業登記簿謄本

法人としてファクタリングを利用する場合、商業登記簿謄本が必須になります。商業登記簿謄本とは、会社が設立されてから現在に至るまでの履歴が記録された書類のことです。具体的には、以下の情報が記載されています。

  • 会社法人等番号
  • 商号(社名)
  • 本店(本店の住所)
  • 登記年月日
  • 会社設立年月日
  • 発行可能株式総数
  • 役員に関する事項(役員の氏名や役職)

商業登記簿はファクタリングを利用する際だけでなく、金融機関で法人口座を開設したり、融資の申込をしたりする際にも使います。

商業登記簿謄本を発行してもらうには、法務局に申請しないといけません。以下の3つの方法で申請しましょう。

  • 窓口申請
  • 郵送申請
  • オンライン申請

以下、それぞれの方法について詳しく解説します。

窓口申請

実際に法務局・地方法務局の窓口に出向いて申請する方法です。平日の8時30分から17時15分まで受け付けています。法務局のWebサイトから申込書(登記事項証明書(代表者事項証明書を含む。)・登記簿謄抄本・概要記録事項証明書交付申請書)がダウンロード可能です。事前に記入しておくと手間が省けます。

申込書と手数料(1通あたり600円)を提出すればその場で発行してもらえるので「今日中に手に入れたい」場合はこの方法がおすすめです。なお、全国にある法務局・地方法務局の場所は、法務省のWebサイトに一覧形式で掲載されています。

参照:法務省「法務局・地方法務局所在地一覧」

郵送申請

自宅や会社から法務局が遠かったり、出向く時間がなかったりする場合は、郵送申請を使いましょう。法務局のWebサイトから申込書(登記事項証明書(代表者事項証明書を含む。)・登記簿謄抄本・概要記録事項証明書交付申請書)をダウンロードして記入し、返信用の封筒と収入印紙(1通の場合は600円)を入れて、最寄りの法務局まで郵送してください。

できれば、普通郵便ではなく、配達記録や書留など「いつ、どこに出したのか」がわかる方法で送りましょう。この方法を使う際に注意したいのは、時間がかかる点です。少なく見積もっても1週間程度はかかるので、すぐに手に入れたい場合は向いていません。

オンライン申請

登記・供託オンラインシステム(登記ねっと、供託ねっと)を使えばパソコンから商業登記簿謄本の取り寄せができます。なお、手数料はATMやインターネットバンキングで払う流れです。初回利用時に登録が必要になりますが、自分の好きな場所から手続きができるのが大きなメリットでしょう。

参照:登記・供託オンラインシステム(登記ねっと、供託ねっと)

なお、オンライン申請を行う際のおおまかな流れは以下の通りです。

  1. 申請者情報登録を行う
  2. 登録が済んだらログインし、「請求書請求」タブの「登記事項証明書」をクリックする
  3. 画面の指示に従い必要事項を入力し、データを送信する
  4. インターネットバンキングやATMで手数料を納付する
  5. 請求先登記所から書類が郵送される(法務局の窓口での受取も可能)

手数料は500円(窓口での受取の場合は480円)です。

身分証明書

代表者の身分証明書も忘れずに用意して下さい。一般的に使える可能性が高いものを列挙してみました。

  • 運転免許証もしくは運転経歴証明書(表面、裏面)
  • マイナンバーカード(表面のみ)
  • パスポート(写真面、住所面)

ただし、パスポートを身分証明書として使う場合、注意点が1つあります。2020年2月4日以降に発給申請されたものの場合、住所欄がありません。そのため、もう1点書類が必要になります。以下のいずれかを用意しましょう。

  • 国民健康保険証
  • 本人の氏名、住所が記載された公共料金の領収書
  • 住民票(発行から6カ月以内のもの)

細かい扱いは、ファクタリング会社によってもまちまちです。実際に申込をする前に確認すると良いでしょう。

決算書または確定申告書

法人であれば決算書、個人事業主であれば確定申告書が必要になります。正確には、以下の書類です。

  • 法人の場合:直近3期分の決算書(勘定科目内訳明細全ページ含む)
  • 個人事業主の場合:税務署の収受印付き確定申告書B第一表※電子申告の場合は、確定申告書および電子申告時の送信票(受付日時、受付番号記載)

なお、設立したてで決算や確定申告を済ませていない場合の扱いは、ファクタリング会社によって異なります。一切利用できないケースもあれば、条件付きで利用できるケースもあるので、事前に確認しましょう。利用できる場合、一般的に提出を求められる書類は以下の通りです。

  • 法人の場合:残高試算表(貸借対照表と損益計算書)
  • 個人事業主の場合:収受印付きの開業届

印鑑証明書

その印鑑が本物であることを証明するための書類です。個人事業主であればマイナンバーカードを使って最寄りの市区町村役場やコンビニで取得できます。しかし、法人の場合は法務局での手続きが必須です。先ほど触れた商業登記簿謄本の場合と同様、窓口、郵送、オンラインのいずれかで申請できます。手数料は以下の通りです。

書面請求(窓口、郵送) 450円
オンライン(郵便で受取) 410円
オンライン(窓口で受取) 390円

なお、印鑑証明書の交付申請には、印鑑カードが必須になります。最寄りの法務局に印鑑カード交付申請書を提出すればすぐに発行してもらえるので、かならず手続きを済ませましょう。

取引銀行口座の通帳

ファクタリングを利用する際は、取引銀行口座の通帳の写しを求められることがほとんどでしょう。入出金記録を調べることで、実際に取引が行われ、売掛債権が入金されているのかが把握できるためです。

ネットバンキングやインターネット銀行には注意

普段、銀行のネットバンキングを使っていたり、インターネット銀行など通帳が発行されない銀行を使っていたりする場合は注意しましょう。「直近1カ月分」など入出金明細をダウンロードできる期間が短くなっているケースもあるためです。利用しようとするファクタリング会社の条件を確認した上で、事前に銀行に問い合わせて取り寄せておくと良いでしょう。

請求書、発注書、納品書、個別契約書

ファクタリングは売掛債権の買取による現金化である以上、売掛債権が実在することを客観的に証明できる書類が必須となります。請求書、発注書、納品書、個別契約書などを用意しましょう。

不測の事態に備えて普段から備えておくと◎

すでに触れた通り、ファクタリングを利用するにあたっては、さまざまな書類が必要になります。その中には、商業登記簿謄本など、平日でないと入手が難しい書類もあります。いつ、ファクタリングを使う必要があるかはわからないため、普段から用意しておくのがおすすめです。

なお、商業登記簿謄本は、発行日から3カ月以内のものを用意しましょう。商業登記簿謄本の提出を求められる場合、一般的な商慣行では発行日から3カ月以内のものを提出するよう指定されるためです。専用の封筒やファイルを用意し「いつ取得したものなのか」わかるようにメモやラベルで記録しておくと良いでしょう。新しいものを取得したら、古いものはシュレッダーにかけて処分してください。

書類が用意できない場合の対処法

ファクタリングを使いたくても、必要な書類がすぐに用意できないケースも考えられます。そのような場合の対処法として、以下の2つを解説します。

  • 代わりに使える書類がないかを調べる
  • 少ない書類で利用できるファクタリング会社を選ぶ

代わりに使える書類がないかを調べる

たとえば、ファクタリングを利用する際は売掛債権の実在性を証明する書類が必要になります。一般的に考えられるのは、請求書、発注書、納品書、個別契約書などですが、これらが用意できない場合は、他の書類も検討しましょう。

一例として考えられるのは以下の通りです。

  • 支払明細書
  • 医療レセプト
  • ECサイト運営者の管理画面
  • 検収書
  • 受領証

ただし、このあたりの扱いについてはファクタリング会社によってもかなり異なるため、実際に利用する際は必ず確認してください。

少ない書類で利用できるファクタリング会社を選ぶ

少ない書類で利用できるファクタリング会社を選ぶのも1つの方法です。たとえば、審査の時点で商業登記簿謄本が用意できなくても申込ができるファクタリング会社は存在します。

ただし、その場合でも銀行の入出金記録や契約書、請求書など売掛債権の裏付けになる資料は求められるケースが大半です。これらの書類はビジネスにおける資金繰りの管理においても重要な意味を持つため、必要な時にすぐに出せるよう、適切に管理しましょう。

急ぎでも大丈夫!少ない書類で審査が受けられるファクタリング会社2選

実際のところ、商業登記簿謄本や決算書を抜け・漏れがないように用意しようとすると、法務局に出向いたり、税理士と打合せをしたりする必要があるので、時間がかかります。そこで、ここから先では、通帳のコピーや請求書など、自分たちだけで用意できる書類のみで審査が受けられるファクタリング会社を紹介します。

ビートレーディング

運営会社名 株式会社ビートレーディング
個人事業主の利用 可能
審査時の必要書類 ・売掛先からの入金が確認できる通帳のコピー(表紙付2か月分)
・売掛債権に関する資料(契約書・発注書・請求書など)
手数料 ・2社間ファクタリング:4.0%~12.0%
・3社間ファクタリング:2.0%~9.0%
入金スピード 最短5時間
面談 なし
※電話、メールによるヒアリングはあり

ビートレーディングは独立系のファクタリング会社です。設立年は2012年とファクタリング会社の中ではかなり老舗の部類に属します。利用者にとっての便利さを追求したサービスを提供している会社です。

なお、審査にあたっては以下の2種類の書類が必要になります。

  • 売掛先からの入金が確認できる通帳のコピー(表紙付2か月分)
    売掛債権に関する資料(契約書・発注書・請求書など)

審査のスピードも早く、公式Webサイトによれば最短5時間での資金調達が可能とのことです。面談も必要ないので、日本全国どこからでも気軽に利用できます。

ベストファクター

運営会社名 株式会社アレシア
個人事業主の利用 可能
審査時の必要書類 ・本人確認書類
・入出金の通帳(Web通帳含む)
・請求書、見積書、基本契約書(取引先との契約関連書類)
手数料 ・2社間ファクタリング:2.0%~
入金スピード 最短即日
面談 必須

※来社が難しい場合は訪問対応も可能

ベストファクターは東京都新宿区と大阪府大阪市の2箇所に拠点を構えるファクタリング会社です。公式Webサイトによれば、平均買取率が89.7%、即日振込実行率が63.6%(2022年8月実績)と高い水準を誇っています。

ベストファクターの審査にあたって必要な書類は以下の3つです。

  • 本人確認書類
  • 入出金の通帳(Web通帳含む)
  • 請求書、見積書、基本契約書(取引先との契約関連書類)

審査を通過し、契約に進んだ場合は、以下の書類が必要になるので、抜け・漏れがないよう用意しておきましょう。

  • 納税証明書
  • 印鑑証明書
  • 登記簿謄本

なお、利用にあたっては面談が必須になります。東京・大阪のいずれかの拠点に出向くか、自社のオフィスなど場所を指定し、訪問してもらいましょう。

まずは売掛債権に関する資料や通帳のコピーの用意を

ファクタリングを利用するにあたっては、さまざまな書類が必要になります。ゼロから用意するとなると時間がかかる可能性もあるため、普段から抜かりなく準備をするのが理想的です。

ただし、実際のところ、審査時は売掛債権に関する資料や通帳のコピーさえ用意できれば問題がないケースも多々あります。「書類が揃えられないからファクタリングはムリ」と諦めるのではなく、できる方法を探ってみましょう。