銀行系ファクタリングとは?特徴、メリット・デメリットを徹底解説

銀行系ファクタリングとは?特徴、メリット・デメリットを徹底解説

ファクタリングのサービスを提供しているのは専門業者(ファクタリング会社、ファクター)だけではありません。銀行やそのグループ会社でも提供しています。売掛債権を買い取り、本来の支払い期日より早い段階で現金化してくれるのは他のファクタリング会社と変わりませんが、細かい部分は大分異なるので注意が必要です。

そこで本記事では、銀行やそのグループ会社が提供するファクタリング=銀行系ファクタリングについて解説します。最後まで読めば、銀行系ファクタリングがどんなサービスなのかがわかるはずです。

銀行系ファクタリングとは

最初に、銀行系ファクタリングについて基本的な部分を解説します。

銀行が提供しているファクタリングのこと

銀行系ファクタリングとは、都市銀行・地方銀行などの銀行やそのグループ会社が提供しているファクタリングサービスのことです。詳しくは後述しますが、一般的な(買取)ファクタリングだけではなく、国際ファクタリングなどより特殊な契約形態に対応しているケースも多くあります。

ファクタリングサービスを提供している銀行の例

ファクタリングサービスを行っている銀行およびそのグループ会社の例を紹介します。銀行系ファクタリングに関しては公開されていない情報も多いため、利用にあたっては事前に確認した上で進めてください。

  • みずほファクター(みずほフィナンシャルグループ)
  • 三菱UFJファクター(三菱UFJフィナンシャル・グループ)
  • SMBCファイナンスサービス(SMBCグループ ※三井住友銀行が中心)
  • 浜銀ファイナンス(横浜銀行のグループ企業)
  • 百十四銀行(香川県高松市に本拠地を置く地方銀行)
  • 足利銀行(栃木県宇都宮市に本拠地を置く地方銀行)

銀行系ファクタリングのメリット

銀行系ファクタリングのメリットとして、以下の4点を解説します。

  1. 社会的な信頼性は申し分なし
  2. 手数料は総じて安め
  3. 多様な形態のファクタリングに対応
  4. 大口の資金調達にも対応

1.社会的な信頼性は申し分なし

大きなメリットの1つが、社会的信頼性の高さです。2022年11月現在、ファクタリング会社に対しては特別法による規制がありません。そのため、運営において不適切な点が散見される悪質なファクタリング会社もあるのが実情です。

一方、銀行に対しては特別法である銀行法を中心にした厳しい規制が敷かれています。信用秩序の維持や預金者の保護、国民経済への適正な資金配分の遂行などさまざまな背景がありますが、それだけの厳しい規制があるからこそ、社会的信用も高いと考えて構いません。実際のところ「銀行や銀行のグループ会社なら大丈夫そう」と思っている人も一定数いるはずです。

2.手数料は総じて安め

銀行系ファクタリングの手数料は、一般的なファクタリング会社の手数料に比べると総じて安めです。一般的なファクタリング会社の手数料は、高い場合は20%近くに達することも十分にあり得ます。

一方、銀行系ファクタリングの場合、審査の結果にもよりますが、10%を超えるケースはそう多くありません。厳密に審査を行ったうえで、売掛債権の回収可能性が高いと判断された場合のみ手続きを進めるという前提だからこそ、手数料も安く抑えられます。

ファクタリングにかかる手数料が高いと、資金調達できる金額も減ってしまいがちです。できるだけ安く済ませられるに越したことはないため、手数料の安さは大きな魅力の1つになりえます。

3.多様な形態のファクタリングに対応

銀行系ファクタリングでは、多様な種類のファクタリングに対応しています。

一般的なファクタリング会社で扱われる買取ファクタリングや医療ファクタリングだけでなく、保証ファクタリング、一括ファクタリング、国際ファクタリングにも対応しているケースは少なくありません。

買取ファクタリング 企業間の取引で発生した売掛債権をファクタリング会社に売却し、早期の現金化を図る
医療ファクタリング 医療報酬、介護報酬、調剤報酬の明細書(レセプト)をファクタリング会社と売買する
保証ファクタリング 取引先による代金の支払をファクタリング会社が保証する(万が一回収ができなくなった場合は代わりに支払ってもらう)
一括ファクタリング 売掛債権を金融機関が一括して買取り、債権者の口座に代金を振り込むことにより、決裁事務の合理化を図る
国際ファクタリング 国内の商品を海外に輸出し、海外企業が商品を受け取りお金を支払う際に発生する売掛金をファクタリング会社が買い取る

4.大口の資金調達にも対応

数億円を超える大口の資金調達を行う場合も、銀行系ファクタリング会社は役に立ちます。一般的なファクタリング会社の場合、調達できる資金額に一律の上限が設けられているのは珍しくありません。

しかし、銀行系ファクタリングの場合は、一律の上限が設けられていないことが多いです。一律の上限がないため、審査の結果問題がないと判断されれば、数億円単位の資金調達も可能になります。

銀行系ファクタリングのデメリット

一方、銀行ファクタリングにはデメリットもあります。デメリットとして、以下の6点について解説します。

  1. 公開されている情報が少ない
  2. 審査難易度が高い
  3. 個人事業主、フリーランスの利用はかなり難しい
  4. 資金調達まで時間がかかる
  5. 取引先の承諾がないと利用できない
  6. 用意しなくてはいけない書類が多い

1.公開されている情報が少ない

銀行系ファクタリングに関しては、公開されている情報が非常に少ないのが実情です。詳しい情報を知りたいなら、銀行の支店に問い合わせて案内してもらう必要があります。

一般的なファクタリング会社とは違い、気軽に情報にアクセスできるとは限らない点に注意が必要です。自身での対応が難しいなら、顧問税理士などの専門家にも相談し、対応を進めましょう。

2.審査難易度が高い

一般的なファクタリング会社に比べると、銀行系ファクタリングは審査難易度が高いです。理由として、利用者の支払能力を審査において重視していることが挙げられます。

一般的なファクタリング会社であれば、利用者の支払能力はさほど重視されません。あくまで、取引先の支払能力を重視するため、利用者の支払能力が著しく低いと判断された場合を除き、審査に通る可能性は十分にあります。

しかし、銀行系ファクタリングも結局は銀行が提供するサービスの一環である以上、利用者の支払能力が一定水準に達していないと審査通過も難しいのが実情です。支払能力に自信がない場合は、銀行系ファクタリングは候補から外すのをおすすめします。

3.個人事業主、フリーランスの利用はかなり難しい

銀行系ファクタリングはどちらかといえば法人向けのサービスであり、個人事業主やフリーランスの利用はかなり難しくなっています。社会的な信頼性や支払能力が法人に比べると劣っていると判断されるケースが多いためです。

もちろん、すでにその銀行に事業用口座を開設できていて、近い将来の法人成りを考えているならこの限りではありません。

4.資金調達まで時間がかかる

銀行系ファクタリングは、資金調達まで時間がかかるのが難点です。

ファクタリングを「契約に関与する当事者の数」で分類すると、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングに分けられます。

2社間ファクタリング 利用者とファクタリング会社のみが契約に関与する。取引先への通知は行われない
3社間ファクタリング 利用者とファクタリング会社、取引先が契約に関与する。取引先への通知が必須

銀行系ファクタリングでは、3社間ファクタリングの形態で手続きが進められます。つまり、取引先へファクタリングを使いたい旨を伝え、承諾を得ないとその先に進みません。

取引先の社内決裁が必須であることを踏まえると、実際に資金調達にこぎつけるまで2週間くらいかかるのは珍しくないでしょう。何かトラブルがあった場合は1ヶ月近い時間を要することも考えられます。「今日中に」「今週中に」など、迅速な資金調達を望む場合にはあまり向いていません。

5.取引先の承諾がないと利用できない

銀行系ファクタリングは、取引先の承諾がないと利用できません。つまり、取引先にファクタリングを使ったことが確実に知られます。

信頼関係ができている取引先ならさほど問題はありませんが、そうでない場合は慎重な対応が必要です。「ファクタリングを使わないといけないほど資金繰りに困っている」と判断され、その後の取引を断られる可能性も出てきます。「実は大口の取引先からの入金が遅れている」など、角の立たない理由を伝え、理解を求めるのが必須になるでしょう。

6.用意しなくてはいけない書類が多い

銀行系ファクタリングに申込をする際は、たくさんの書類を用意しなくてはいけません。一般的に用意するよう求められる書類を紹介します。

  • 印鑑証明書
  • 登記簿謄本
  • 取引先との契約書
  • 確定申告書
  • 入金履歴が数ヶ月分わかる通帳

ここで挙げた以外の書類でも、会社側の判断で別の書類の提出を求められることもあります。登記簿謄本など、平日でないと手に入れられない書類もあるため注意が必要です。

銀行系ファクタリングが向いている人・向いていない人

ここまでの内容を踏まえて、銀行系ファクタリングが向いている人と向いていない人について考えてみました。特徴を解説します。

向いている人の特徴

まず、向いている人の特徴は以下の通りです。

  • すでにその銀行と取引をしている
  • 数億円単位の資金調達を望んでいる
  • 入金にはある程度時間がかかっても良い
  • 法人の代表者もしくは従業員である
  • 取引先からの理解を取り付けられる見込みがある

向いていない人の特徴

一方、向いていない人の特徴は以下の通りです。

  • 個人事業主、フリーランスである
  • まだその銀行と取引がない
  • できるだけ早く入金してほしい
  • 取引先に知られたくない

銀行系ファクタリングが向いていない人へおすすめするファクタリング会社2選

個人事業主やフリーランスのように、銀行系ファクタリングが向いていない場合であっても利用でき、しかも信頼性の高いファクタリング会社は存在します。ここでは、そのようなファクタリング会社として以下の2つを紹介します。

  • labol(ラボル)
  • OLTA(オルタ)

labol(ラボル)

出典:ラボル公式サイト

 

labol(ラボル)は、株式会社ラボルが運営するファクタリングサービスです。同社は、東証プライム上場のインターネットマーケティング会社・セレスのグループ企業であるため、信頼性も抜群です。

「個人事業主、小規模事業者向け資金調達サービス」と銘打っているだけあり、少額からの買取にも対応しています。申込から契約まですべてWebで完結するため、店舗に出向いたり、面談のアポを取ったりする必要もありません。必要な書類も請求書とエビデンス(担当者とのメールなど)だけと非常にシンプルなうえに、最短10分で資金調達が可能です。

個人事業主やフリーランスの人は、取引先からの入金が遅れたなどのトラブルに備えて知っておくと何かと重宝するファクタリング会社でしょう。

サービス名 ラボル
ファクタリングの種類 2社間ファクタリング
手数料 一律10%
入金スピード 最短60分
利用可能額 1万円~
法人or個人 法人、個人事業主ともに可能
申込方法 公式Webサイト

OLTA(オルタ)

出典:OLTA公式Webサイト

 

OLTA(オルタ)はOLTA株式会社が運営するファクタリングサービスです。同社は独立系のファクタリング会社ですが、三菱UFJフィナンシャル・グループによるスタートアップ支援プログラム「MUFG Digital アクセラレータ」に採択された実績を持ちます。

そのような背景もあってか、三菱UFJ銀行をはじめとした銀行との協業もさかんです。群馬銀行などの地方銀行とも、共同事業でクラウドファクタリングを提供しています。さまざまな銀行からの信頼も厚い会社であるため、安心して利用できるのがメリットです。

面談は不要(ただし、電話でのヒアリングあり)なうえに、最短即日入金と資金化までのスピードも早いため、覚えておくと役に立ちそうです。

サービス名 OLTA
ファクタリングの種類 2社間ファクタリング
手数料 2.0%~9.0%
※実際の手数料は審査により決定
入金スピード 最短即日
利用可能額 一律の制限なし
法人or個人 法人、個人事業主ともに利用可能
申込方法 公式Webサイト

 

ファクタリング会社は吟味して選ぼう

銀行系ファクタリングは社会的な信頼度が高く、多額の資金調達ができるという利点があるものの、万人向きの手段ではないのが実情です。

銀行系でなくても、利用者に寄り添った対応を心掛け、真摯にビジネスを営んでいるファクタリング会社はたくさんあります。そのような会社を選べば、スムーズに資金調達ができるはずです。情報収集をした上で比較検討し、本当に自分たちのビジネスを支えてくれるファクタリング会社を選びましょう。