ファクタリングで重要な償還請求権とは?

資金繰りに困っている中小企業や個人事業主あるいはフリーランスにとって、ファクタリングは売掛債権をお金にすることができる便利な手法あり借り入れではないため利用しやすく、手早く資金を手に入れることができます。

しかしながら、ファクタリングについてあまり知らないままに利用してしまうと、思わぬトラブルに見舞われることがあります。

たとえば取引先が倒産してしまった場合、ファクタリング会社は取引先から売上の回収ができないため、その分をファクタリングを利用した企業が補償しなければいけないケースがあるのです。

これには契約時の償還請求権の有無が大きく関係しています。果たして償還請求権とはどのようなものなのでしょうか。今回は、償還請求権やその有無による違いなどについてご紹介していきたいと思います。

そもそも償還請求権(リコース)とは

ファクタリングにおける償還請求権とは、ファクタリング会社に買い取られた売掛債権が、売掛先企業の倒産などの理由から回収不能となった場合、ファクタリング会社がファクタリングの利用者に対して、代わりにその債権相当額を支払うように請求できる権利のことです。

ファクタリングが付いているファクタリングの場合、利用者はその支払いを拒むことはできません。そのためせっかく調達できた資金を失うことになります。償還請求権のあるファクタリングは別名「リコース」と呼ばれ、逆に償還請求権のないものは「ノンリコース」と呼ばれ、ノンリコースのファクタリングであれば、売却した売掛債権が回収不能になっても、ファクタリング会社がそのリスクを負うため、利用者に請求されることはありません。

ファクタリングのメリット

入金のスピードが速い

銀行の融資に比べて、ファクタリングは速く資金調達ができます。

速いサービスと最短10分での入金もできます

またファクタリングの契約は融資とは異なり貸付けではないので、一般に保証人や担保は必要ありません。

信用情報には影響ありません

銀行融資で資金調達をした場合会計上負債に分類されるため、負債があまりにも多いと銀行審査で評価が下がってしまったり、企業の株価や社会的な信用力に影響してしまうリスクがあります。
ファクタリングの売掛債権譲渡による資金調達は負債とは計上されないため、そのようなリスクは一切ありません。

オンライン完結型では対面での面談はありません

ファクタリング会社のなかには手続きをすべてオンラインで完結できるサービスが多くあります。
オンライン完結型のファクタリングを利用すれば遠方の方やなかなか面談に行く時間がとれない方でも手軽に利用できます。

ファクタリングのデメリット

利用時に手数料が発生する

ファクタリングを利用する際に、一般に5%~20%程度の手数料がかかります。手数料はそれぞれのファクタリング会社が独自に設定していますので、利用する際には不当に高く設定されていないかいないかどうかをしっかり確認しましょう。

額面金額以上の資金調達はできません

ファクタリングは、売掛金から手数料を差し引いた分だけの金額まで調達することができます。したがって、売掛金を超えた額を調達することはできません。

危険な闇金業者が存在している

ファクタリングは基本的に安全なサービスですが、中には利用者から法外な手数料で悪質な取り立てを行う業者も存在します。必ず口コミや企業情報などを集めて、信用に足り得る会社を選ぶようにしましょう。

多くのファクタリングには償還請求権がない

このようにファクタリングに償還請求権があるとファクタリングの利用者に大きなリスクが伴うことが明らかになりました。しかしながら実際には、最近の多くのファクタリングには償還請求権が付いていません。その理由としては、ファクタリングの契約内容が単なる売掛債権の譲渡=売買とされているのが大半となっていることが挙げられます。

ファクタリングでは売掛債権がファクタリング会社に売却され、ファクタリングの利用者が資金調達できた時点で契約上の目的が達成されます。売却された売掛債権については、万一回収不能となったとしても、ファクタリング利用者がその責任を負わない契約内容になっております。したがって売掛債権が譲渡されてしまえば、ファクタリング利用者が債務者の代わりに支払うというような責任やリスクを負うことはないのです。

銀行やノンバンク系には償還請求権が付いている場合がある

ファクタリングの多くは償還請求権がありませんが、銀行系やノンバンク系のファクタリング会社のなかには償還請求権が付いている場合があります。償還請求権が付いているファクタリングは、厳密には売掛債権を担保にした「売掛債権担保融資(ローン)となります。

このような売掛債権担保融資は、「貸金業法」という法律で金融庁に貸金業の登録が済んでいる金融機関だけが行うことができるものです。銀行系やノンバンク系のファクタリング会社の場合、貸金業登録済みできるため、このような償還請求権が付いているファクタリングを行っても違法ではありません。

償還請求権が付いているファクタリングの場合の注意点

償還請求権が付いているファクタリングで注意すべき点としては、このような貸金業登録を行わずにファクタリングを装って「融資」を持ち掛けてくる「闇金業者」の存在です。そのような融資は非常に高金利であることがほとんどです。闇金業者はファクタリングの話から巧みに融資へと話をもって行こうとします。

たとえば売掛先企業の信用リスクや貸し倒れリスクが非常に高いので、償還請求権が付いているファクタリングならすぐに資金調達できますなどと持ち掛けてきます。また償還請求権が付いているファクタリングなら利用手数料を安くする、というような話を持ち出してくる例も見られます。闇金業者がファクタリングではなく、売掛債権担保融資の話を持ち掛けてくるのは法外な利息を取りたいからです。

単発の取引で終わってしまうファクタリングよりも、返済期間中にわたって高金利を取り続けることができる売掛債権担保融資は、そのような闇金業者にとって非常にメリットの大きいおいしい話なのです。本来、売掛債権を売買するファクタリングの契約自体は当事者間の合意のもとに有効ですが、闇金業者のような無登録業者が売掛債権を担保にした融資は違法となりますので絶対に関わってはなりません。

ファクタリングの契約として申し込んだのにいつの間にか融資の契約に切り替わっていたら、闇金業者である可能性が高いと思われますので注意する必要があります。もし契約暑の書面上から償還請求権が付いているファクタリングであるかどうかわからない場合には必ず契約暑のどこにその記載があるのかを担当者に確認しましょう。

償還請求権の有無や闇金業者には注意を!

償還請求権のあるファクタリングの場合、ファクタリング会社が売掛先企業から資金回収できなければ、利用者が代わりに支払い請求に応じなければなりません。実際にはファクタリングの多くが償還請求権はないものの、銀行系やノンバンク系のファクタリング会社の場合、償還請求権が付いているファクタリングがあります。とりわけ注意を要するのがファクタリングを装って高金利を要求してくる闇金業者の存在です。

そのような闇金業者に関わるとせっかく調達した資金が台無しになるのみならず、さまざまなトラブルに巻き込まれる可能性があります。もし利用申し込みをしたファクタリング会社が途中から言葉巧みに融資を持ち掛けられたり、途中で怪しいと気づいたら絶対に契約しないようにすべきです。また償還請求権の有無がわからない場合は必ず担当者に確認することが肝要です。