ファクタリングのメリット6選!賢く使うための注意点も解説

ファクタリングとは、売掛債権を売却して現金化する資金調達方法の1つです。売掛債権さえあれば利用できますが、銀行やノンバンクからの融資に比べるとまだまだメジャーではありません。そのため「利用してみたいけど、よくわからない」と思う人も多いでしょう。

この記事では、ファクタリングの利用を検討している人のために、メリットを中心に詳しく解説します。

最後まで読めば、ファクタリングのメリットと注意点を踏まえたうえで、賢く利用できるようになるでしょう。

ファクタリングとは

ファクタリングとは、資金調達の手段の一種です。売掛金などの売掛債権を専門業者(ファクター)に売却し、手数料を差し引かれた額を受け取るのが基本的な仕組みになります。売掛債権を早期に現金化でき、資金繰りにもプラスになるなどメリットは多いです。

2社間ファクタリングと3社間ファクタリング

ファクタリングを「どんな会社が関与するか」で分けると、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングに分けられます。

2社間ファクタリングとは

ファクターと利用希望者のみで契約を結ぶタイプのファクタリングです。利用にあたっての基本的な流れは、以下のようになります。

  1. 売掛金が発生(取引先に通知)
  2. 売掛債権をファクターに譲渡する
  3. ファクターから手数料を差し引いた額が入金される
  4. 取引先から売掛金が支払われる
  5. 回収した売掛金をファクターに支払う

3社間ファクタリングとは

ファクターと利用希望者、取引先との3社間で契約を結ぶタイプのファクタリングです。利用にあたっての基本的な流れは、以下のようになります。

  1. 売掛債権が発生(取引先に通知)
  2. 取引先にファクタリングの利用・契約を承諾してもらう
  3. ファクターと契約(売掛債権を譲渡)
  4. ファクターから手数料を差し引いた額が入金される
  5. ファクターが取引先に通知
  6. 取引先から売掛債権がファクターに支払われる

2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違い

わかりやすくするために、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違いをまとめました。

項目 2社間ファクタリング 3社間ファクタリング
誰がファクターに支払をするか ファクターの利用者 取引先
取引先への通知 なし あり
資金調達までのスピード 最短即日 1~2週間程度
手数料 高め(10%~30%程度) 低め(1%~10%程度)

表からもわかるように、2社間ファクタリングの手数料は、3社間ファクタリングの場合よりも高くなりがちです。差が生じている理由についても触れておきましょう。

2社間ファクタリングは利用者が取引先から売掛債権を回収した上で、ファクターに振り込むという流れをたどります。利用者がファクターに回収した売掛債権の相当額を振り込んでこない可能性もあるため、手数料も高いと考えましょう。一方、3社間ファクタリングの場合は、取引先が直接ファクターに売掛債権の相当額を振り込みます。回収可能性は2社間ファクタリングに比べると高いため、手数料も低めです。

ファクタリングの6つのメリット

ファクタリングの具体的なメリットとして、以下の6つを解説しましょう。

  1. 業績が悪くても資金調達できる
  2. 最短でその日のうちにまとまった資金が手に入る
  3. 売掛債権の支払い期日まで待たなくて良い
  4. 取引先の倒産に備えられる
  5. 保証人や担保を用意しなくて良い
  6. 借金ではないので信用情報に影響しない

業績が悪くても資金調達できる

企業の業績が芳しくなくても、資金調達の手段としてファクタリングは利用可能です。銀行やノンバンクからの融資の場合、利用者となる企業の支払能力が極めて重視されます。返済が滞ることによる貸倒れリスクを可能な限り軽減したいためです。支払能力はさまざまな観点から審査されますが、業績が芳しくなければ、審査に通るのは厳しいでしょう。

一方、ファクタリングの審査において重視されるのは売掛債権の回収可能性です。つまり、取引先に売掛金を支払うだけの体力があるかが重視されるので、自社の業績は問題になりません。

最短でその日のうちにまとまった資金が手に入る

ファクタリングは、できるだけ早く資金を手に入れたい場合にも有効な手段です。ファクターによっても、売掛債権の現金化までのスピードは異なります。

しかし「最短即日可能」とうたっているファクターは決して少なくありません。事前にファクターに審査完了までの大まかな時間を問い合わせ、早めに済ませてくれるかも確認しましょう。

3社間ファクタリングより2社間ファクタリングを

審査、そして現金化までの早さを重視するなら、3社間ファクタリングではなく2社間ファクタリングのほうが適しています。3社間ファクタリングを利用する場合、取引先を交えて契約を結ばなくてはいけないため、実際に現金化されるまで時間がかかります。

一方、2社間ファクタリングはファクターと自社との契約のみで利用可能です。当事者が少ない分手続もスムーズに進むので、早めに資金調達したいなら2社間ファクタリングを選びましょう。

売掛債権の支払い期日まで待たなくて良い

ファクタリングを使えば、売掛債権の本来の支払期日より前に現金化できます。たとえば、ある取引先と「売掛債権は月末締め、翌々月末入金」というルールで取引をしていたとしましょう。

この場合、7月1日~7月31日まで発生した売掛債権が実際に入金されるのは9月30日という計算になります。7月1日に発生した売掛債権が9月30日にならないと入ってこないため、最長で3カ月近く待たなくてはいけません。その間、資金がショートしないよう注意深く見守る必要があるでしょう。

一方、ファクタリングを使えば、当初の入金期日より早く現金化できます。資金が入ってくるタイミングを早められるので、資金繰りにおいてもプラスです。

取引先の倒産に備えられる

ファクタリングは、取引先の倒産に備えるための手段としても有効です。万が一、取引先が倒産してしまったら、売掛債権が回収できない可能性が出てきます。しかし、ファクタリングを使えば、取引先が倒産する前に売掛債権を現金化することが可能です。

また、ファクタリングを利用したあとに取引先が倒産した場合、売掛金を回収できないことで発生するリスクはファクターが負います。一般的に、ファクタリングは償還請求権がない契約(ノンリコース)になっているのがほとんどだからです。取引先が倒産したとしても、ファクターから請求は行われないと考えましょう。

取引先の経営状態次第では資金調達できない恐れも

実際のところ、ファクターは利用希望者から売掛債権の現金化について申出があった場合、回収可能性を十分に吟味します。取引先の経営状態が芳しくなく、倒産する可能性があると判断された場合は、ファクター側から売掛債権の買取を断られるでしょう。

いざというときに売掛債権を買い取ってもらえない事態に陥らないよう、取引先の与信調査はこまめに行いましょう。

保証人や担保を用意しなくて良い

ファクタリングは融資ではなく、売掛債権の買取です。保証人や担保を用意する必要はありません。

万が一、ファクタリングの利用にあたって担保や連帯保証の設定が必要と言われた場合は警戒しましょう。ファクタリングとは銘打っているものの、実態は違法貸金業者に近い可能性もあるためです。

事前に利用を検討しているファクターの情報収集をするとともに、説明に不審な点がないかを確かめましょう。

借金ではないので信用情報に影響しない

ファクタリングは借金=負債ではないので、信用情報にも影響しません。銀行やノンバンクなどからの融資は負債として扱われます。たとえば、銀行から100万円を借りた場合の仕訳は以下のとおりです。

借方 貸方
現金 100万円 借入金 100万円

貸借対照表上で負債が増す上に、残高があまりに大きければ、新規もしくは追加での融資は難しくなるでしょう。利用額が大きければ大きいほど、延滞・滞納のリスクは増すためです。

一方、ファクタリングはあくまで売掛金の売却なので、負債が増えるわけではありません。たとえば、取引先からの売掛金100万円についてファクタリングを利用したとします。この場合の仕訳は以下の通りです。

借方 貸方
未収入金 100万円 売掛金 100万円

後日ファクターから手数料5万円が差し引かれた額(95万円)が入金された場合、仕訳はこのようになります。

借方 貸方
売掛金 95万円
売上債権売却損 5万円
未収入金 100万円

個人事業主でも法人でも使える

ファクタリングは、個人事業主・法人を問わず利用できます。銀行からの融資では、利用にあたって会社の登記簿謄本が求められたりと、事実上法人しか利用できないケースは珍しくありません。

一方、ファクタリングは個人事業主、法人のいかんを問わず利用できます。個人事業主に対し門戸を開いているファクターも多いです。

柔軟に審査に応じてもらえる

銀行やノンバンクと比べると、利用希望者の話を聞き、柔軟に審査に応じてくれるファクターは多いです。融資を利用できない何らかの事情がある企業の代表や個人事業主が、利用できる資金調達の手段としてファクタリングを検討するのも実情だからでしょう。担当者が親身になり、ていねいに対応してくれるファクターも多く存在します。

だからと言って100%利用できるわけではない

もちろん、ファクターが柔軟に対応してくれるからといって、必ず利用できるわけではない点にも注意しましょう。一般的に、ファクタリングの審査においては、以下の点が重視されます。

  • 売掛債権を期日通りに回収できるか
  • 買取金額の上下限、申込企業の属性がファクターの基準に合致しているか
  • 売掛債権が実在するものか
  • 利用を希望する法人、個人事業主の業績が著しく悪くないか
  • 利用を希望する法人、個人事業主や属する業界にコンプライアンス上の問題がないか
  • 提出された書類に不備はないか
  • 担当者との面談において不審な点はないか

何らかの要素において問題があると判断された場合、ファクタリングの審査に通らない可能性は十分にあります。

ファクタリングを利用する際の注意点

ファクタリングは非常に便利なサービスではあるものの、利用する際には注意が必要なのも事実です。特に注意が必要なポイントとして、以下の3つを詳しく解説します。

  • 利用が常態化しないようにする
  • 取引先との関係悪化の可能性に気を付ける
  • 不適切な運営をしているファクターは避ける

利用が常態化しないようにする

ファクタリングは、本当に必要な時にのみ使い、利用が常態化しないようにしましょう。利用が常態化してしまうと、かえって資金繰りが悪化する恐れがあるためです。

分かりやすくするために、かなり極端な具体例を用いて説明します。取引先からの売掛金はすべてファクタリングを使って早期に現金化するのが常態化している会社があるとしましょう。

なお、具体例の作成にあたって、以下の前提条件を設けます。

  • 売掛金は月末締めで翌々月末日に入金される
  • ファクターにはその月に発生した売掛金を買い取ってもらい、売却額を翌月10日に入金してもらっている
  • ファクターから提示された掛目(買取の対象となる金額)は8割である
  • 分かりやすくするために、手数料についてはここでは考えない

ある年の6月~8月とファクタリングを利用し続け、9月からは取りやめた場合の入金スケジュールは以下の通りです。

日付 詳細
7月 7月10日頃 6月末締めの売掛金の買取相当額(8割相当額)がファクターから入金される

7月末日頃 5月末締の売掛金のうち、ファクターの買取対象外となった額(2割相当額)が入金される

8月 8月10日頃 7月末締めの売掛金の買取相当額(8割相当額)がファクターから入金される
8月末日頃 8月末日頃 6月末締の売掛金のうち、ファクターの買取対象外となった額(2割相当額)が入金される
9月 9月10日頃 8月末締めの売掛金の買取相当額(8割相当額)がファクターから入金される
9月末日頃 7月末締の売掛金のうち、ファクターの買取対象外となった額(2割相当額)が入金される
10月 10月末日頃 8月末締の売掛金のうち、ファクターの買取対象外となった額(2割相当額)が入金される
11月 11月末日頃 9月末締の売掛金が全額入金される

スケジュールからもわかるように、10月に入金される額が極端に減っているため、資金ショートを起こす可能性が高いでしょう。このように、ファクタリングを使うのが常態化する=当たり前になってしまうと、いざ使うのを止めたときにトラブルの原因になります。安易に使うのではなく、「何もしなければ1カ月以内に資金ショートを起こす可能性が高い」など、使うタイミングをあらかじめ社内で決めておくと良いでしょう。

取引先との関係悪化の可能性に気を付ける

ファクタリングを使った事実が取引先に知られた場合、関係が悪化するリスクもある点に注意しましょう。3社間ファクタリングの場合、取引先も交えた契約を結ばなくてはいけないためです。それに伴い、以下の対応も必要になります。

  • 取引先に対して債権譲渡通知を発行する
  • 内容証明郵便を発送する
  • 債権譲渡登記する

つまり、どうやっても取引先にファクタリングを使った事実は知られてしまいます。取引先との信頼関係が築けていて「実は他の取引先から入金がなくて」など、ファクタリングを使った理由をはっきり言えるなら問題ないでしょう。

しかし、そこまでの信頼関係が築けていなかった場合、取引先から不信感を持たれても仕方ありません。「ファクタリングを使う=資金繰りが厳しい」と思われ、取引の終了をほのめかされる可能性もあります。取引先との関係悪化を避けたいなら、手数料は高いですが、2社間ファクタリングを使うのも視野に入れましょう。

不適切な運営をしているファクターは避ける

不適切な運営をしているファクターは利用しないようにしましょう。2022年8月現在、ファクタリングに対する規制の根拠となる法律は民法のみです。ビジネスローン(貸金業法)や銀行からの借入(銀行法)のように、特別法にあたる法律がありません。そのため、不適切な運営をしているファクターが混じりがちなのも実情です。

以下の点に着目し、利用しようとしているファクターが不適切でないかを見極めましょう。

  • Webサイトに携帯電話の番号しか書いていない
  • 担当者のファクタリングに関する知識が薄く、質問しても回答が不明瞭
  • 契約書を渡されない(渡されても間違いだらけ)
  • 手数料が相場より大幅に高い
  • 交通費や印紙代など、何に使うかわからない費用を請求される
  • 入金が遅い
  • 公正証書、連帯保証を要求してくる
  • 買戻請求権、償還請求権がついてくる
  • 執拗な取り立てをしてくる

事前に確かめるためには、事前に以下の方法で情報収集するのをおすすめします。

  • ファクターのWebサイトを確認する
  • 法人番号や登記情報を確認する
  • Web、SNS上の口コミを探す

ファクタリングのメリットは大きいからこそ賢く使おう

ファクタリングは、未回収の売掛債権さえあれば利用できる資金調達です。早ければその日のうちにまとまった資金が確保できるなど、メリットがたくさんあります。

しかし、そもそもファクタリング自体がどんな取引か、どのようなファクターを選べば良いかなど、知識がない状態で使うのはおすすめできません。思いがけないトラブルに巻き込まれる可能性もあるためです。ファクタリングのメリットは大きいからこそ、賢く使いましょう。