経営者の皆さんの悩みの一つに資金繰りがあります。
「銀行に融資を申し込んでも審査に時間がかかって・・・」
といった経験、ありませんか。
1週間以内に資金調達が可能な方法があればうれしいですね。
「ファクタリング」という資金調達方法が解決してくれます。
この記事ではファクタリングについて解説します。
ファクタリングの審査や種類について、またファクタリングの代表ともいえる買取型ファクタリングにおける手続きや流れ、注意点について理解できます。
運転資金を銀行などの金融機関での融資のみで調達している経営者の皆さんにはぜひ最後までお読みください。
ファクタリングとは
ファクタリングは事業者が保有する売掛金をファクタリング会社への売却により資金調達を行う方法です。
資金調達方法として一般的に銀行などの金融機関での融資を利用するケースが多いですが、融資は借入金なので返済する必要があります。
ファクタリングは売掛金の売買により資金調達が可能なため、利用者は返済が不要です。
ファクタリングを利用する前に知っておきたい内容として次の2点があります。
- ファクタリングの審査
- ファクタリングの種類
ファクタリングの審査および種類について詳しく解説します。
ファクタリングの審査
ファクタリング会社は利用者から買い取った売掛金が無事に回収できるかについて審査します。そのため、ファクタリング会社は主に売掛先の審査を行います。
一方、銀行などの金融機関は申込人の審査を行います。申込人に返済義務があるからです。
例えば、申込人が赤字決算であり、または代表者が多額の借入金がある場合、審査に通らない可能性がありますが、通常ファクタリング会社の審査では影響しません。
審査にかかる時間も金融機関であれば、3週間から1ヶ月近くかかるケースがありますが、ファクタリングでは申し込んでから早い場合即日に審査結果が出て、通常1週間から10日ほどで入金されます。
ファクタリングの種類
ファクタリングには大きく分けて次の2種類があります。
- 買取型
- 保証型
買取型とは、事業者が保有している売掛金をファクタリング会社が買い取るファクタリングです。一般的にファクタリングといえば、買取型ファクタリングを指します。
買取ファクタリングの一つに診療報酬ファクタリングがあります。
医療機関や調剤薬局、介護事業者が社会保険診療報酬支払基金(社保)や 国民健康保険団体連合会(国保連)に診療報酬を請求し、診療報酬請求書(レセプト)を債権譲渡して資金調達を行います。
特徴として、売掛先が公的機関であるため、手数料が低く審査に通りやすい点があります。
また、ファクタリング会社は通常レセプトの金額の満額でなくおよそ80%の金額を買い取る点も特徴の一つです。
保証型ファクタリングは利用者が保有する売掛金に対してファクタリング会社に保証を依頼する方法です。
ファクタリング会社は利用者から依頼のあった売掛先を審査し、保証の可否および保証金額、保証料を算出して利用者に提示し、利用者が了承すれば契約します。
利用者は売掛先からの売掛金が回収できなくなった場合、ファクタリング会社に回収不能のエビデンス等を提示し、ファクタリング会社より保証されている金額を受け取る流れとなっています。
保証型ファクタリングを取り扱っている会社には銀行系のファクタリング会社が多いのが特徴です。
買取型ファクタリング
通常ファクタリングといえば買取型ファクタリングをいいますので、買取型ファクタリングについて説明します。
買取型ファクタリングは次の2つの種類に分けられます。
- 2社間ファクタリング
- 3社間ファクタリング
それぞれのファクタリングについてのしくみおよび特徴について説明します。
2社間ファクタリング
2社間ファクタリングとは、利用者とファクタリング会社との間で行われるファクタリングです。利用者が保有している売掛金をファクタリング会社への売却で資金調達を行います。利用者とファクタリング会社の間での契約は民法の売買契約に相当します。
2社間ファクタリングの特徴は以下の4点です。
- 売掛先に知られずに利用できる
- 現金化になるのが早い
- 未回収リスクが高いため手数料が高い
- 審査がやや厳しい
3社間ファクタリング
3社間ファクタリングとは、利用者とファクタリング会社、売掛先の間で行われるファクタリングです。利用者が保有している売掛金をファクタリング会社への債権譲渡で資金調達を行います。つまり、利用者とファクタリング会社の間での契約は民法の債権譲渡契約となり、売掛先はファクタリング会社に売掛金を支払わなければなりません。
3社間ファクタリングの特徴として、以下の4点があります。
- 未回収リスクが低いため手数料が低い
- 利用者のファクタリング利用が売掛先に知られる
- ファクタリング会社が債権譲渡登記を行う場合がある
- 2社間ファクタリングより現金化に時間がかかる
2社間ファクタリングの手続きや支払いについて
2社間ファクタリングは利用者とファクタリング会社との間で行われます。
どのような流れで審査および手続きを行うのか、また売掛先が売掛金を利用者に支払ってから利用者はどのような点に注意すべきかについて詳しく解説します。
手続きや契約について
2社間ファクタリングの手続きおよび契約の流れはファクタリング会社によりさまざまですが、おおむね次の通りです。
- 利用者はファクタリング会社のHPや電話、メールなどで申し込み
- ファクタリング会社は売掛先の内容をヒアリングし、売掛先を審査
- ファクタリング会社は審査結果をもとに利用者に買い取り金額などを連絡
- 利用者は提示された条件に不満がない場合、ファクタリング会社に売掛金を売却
- 利用者は必要書類を揃え、ファクタリング会社の2社間でファクタリング契約を締結
- ファクタリング会社と契約完了したあと、ファクタリング会社は手数料など契約にかかる諸費用を差し引いた買取代金が利用者の指定口座に入金
- 売掛先は利用者に売掛金を支払い、利用者は入金された売掛金を期日までにファクタリング会社に入金
支払いは利用者が行う
2社間ファクタリングでは契約に際し、通常ファクタリング会社は利用者に回収業務を委託します。売掛先は利用者がファクタリングの利用を知りませんので、通常通り売掛先は利用者あてに売掛金を支払います。
利用者はファクタリング契約に基づき、あらかじめファクタリング会社との間で決められた期日(一般的に10日から2週間以内)までに売掛金をファクタリング会社に入金し、2社間ファクタリングが完結します。
特長や注意点
利用者が2社間ファクタリングを利用するときの特長や注意点に次の点があります。
売掛先に知られずファクタリングを利用できます。
利用者が持ち逃げ等といった未回収リスクが高いと考えられ、手数料は3社間ファクタリングより高いと判断するのが一般的です。
通常、3社間ファクタリングが2~10%に対し、2社間ファクタリングは10~20%が相場とされています。
利用者が売掛先から売掛金が入金されてからファクタリング会社に入金するまでに利用者の口座の自動引き落としに使われるかもしれません。
ファクタリング会社への支払い期日までに売掛金が口座引き落とし資金として使われてしまっているリスクがあるので、売掛先から入金があればすみやかにファクタリング会社へ入金しましょう。
3社間ファクタリングの手続きや支払いについて
3社間ファクタリングは利用者とファクタリング会社、売掛先との間で行われます。
どのような流れで審査され、売掛先とどのようなやりとりがあるのか、またファクタリング会社へ誰が支払うのか、3社間ファクタリングでどのような点に注意すべきかについて詳しく解説します。
手続きや契約について
3社間ファクタリングの手続きは売掛先が契約に入るため2社間ファクタリングとは少し異なりますが、審査や契約の流れはおおむね次の通りです。
- 利用者はファクタリング会社のHPや電話、メールなどで申し込み
- ファクタリング会社は売掛先の内容をヒアリングし、売掛先を審査
- ファクタリング会社は審査結果をもとに利用者に買い取り金額などを連絡
- 利用者は提示された条件に不満がない場合、ファクタリング会社に売掛金を債権譲渡
- ファクタリング会社、利用者のいずれかが売掛先に債権譲渡を通知し、売掛先、利用者、ファクタリング会社の3社間でファクタリング契約を締結
- 契約完了ののち、買い取り代金が利用者の指定口座に入金
- 売掛金の支払い期日に、売掛先はファクタリング会社に売掛金を直接入金
支払いは売掛先が行う
3社間ファクタリングは売掛金をファクタリング会社へ債権譲渡するため、売掛先は支払期日になると、利用者でなく、ファクタリング会社に入金しなければなりません。
そのため、3社間ファクタリングの契約を結ぶと、2社間ファクタリングのように利用者はファクタリング会社に売掛金を入金する必要はありません。
特長や注意点
利用者が3社間ファクタリングを利用するきの特長や注意点に次の点があります。
特長として、3社間ファクタリングは2社間ファクタリングより手数料が低い点があります。2~10%が相場とされています。
注意点として、3社間ファクタリングは売掛先にファクタリングの利用を知られるため、資金繰りが厳しいのでは、と売掛先から一方的に判断される恐れがあり信頼関係にヒビが入る危険性があります。
3社間ファクタリングは債権譲渡であるため、特に高額債権であれば、ファクタリング会社は第三者に対抗するため債権譲渡登記を行う場合があります。売掛先以外の第三者にも利用者は売掛金の譲渡を知られるので、債権譲渡登記の有無について、利用者は契約前にファクタリング会社に確認しましょう。
まとめ
ファクタリングは売掛金を利用して行う資金調達方法で、銀行などの金融機関での融資と違い返済が不要です。
ファクタリングにはさまざまな種類がありますが、買取型ファクタリングがポピュラーで、利用者とファクタリング会社との間での2社間ファクタリング、売掛先も契約に加えた3社間ファクタリングがあります。
2社間ファクタリング、3社間ファクタリングそれぞれのしくみや特長および注意点を把握して運用できれば、資金繰りが安定し、同時に資金調達方法の幅が広がり一層事業拡大を図れるでしょう。