介護報酬ファクタリングとは?利用の流れ、メリット・デメリットを詳しく解説

介護報酬ファクタリングとは?利用の流れ、メリット・デメリットを詳しく解説

介護報酬ファクタリングとは、国民健康保険団体連合会(国保連)に対する介護報酬債権を使った資金調達です。専門の会社(ファクタリング会社、ファクター)に売却することで、本来の支払日より先に介護報酬を受け取れます。

そこで本記事では、介護報酬ファクタリングについて、利用の流れやメリット・デメリットを詳しく解説します。最後まで読めば、介護報酬ファクタリングを利用する際に何をすれば良いかがわかるようになるはずです。

介護報酬ファクタリングを利用する流れ

介護報酬ファクタリングを利用する際の一般的な流れは以下の通りです。

  1. ファクタリング会社に相談する
  2. ファクタリング会社に申込をする
  3.  ファクタリング会社から前払いを受ける
  4. ファクタリング会社が国保連から介護給付金を受け取る
  5. ファクタリング会社から利用者に差額が支払われる

1.ファクタリング会社に相談する

最初に、ファクタリング会社に相談しましょう。すべてのファクタリング会社が介護報酬ファクタリングを扱っているわけではないので注意してください。

また、ファクタリング会社によっては、申込受付を法人に限っているケースがあります。

個人事業主として経営に携わっている場合は、そのファクタリング会社で対応が可能かも併せて確認しましょう。

2.ファクタリング会社に申込をする

ファクタリング会社に相談し、問題がなければ申込をします。申込の際に用意しなくてはいけない書類の例は以下の通りです。

  • 登記簿謄本
  • 印鑑証明書
  • 決算書の写し又は、税務申告書の写し(貸借対照表、損益計算書)
  • 国保連介護報酬債権請求書の写し
  • 介護給付費支払決定通知書の写し

ファクタリング会社の判断でこれ以外の書類の提出を求められるケースもあります。どんな書類を用意すれば良いかは、都度確認しましょう。

3.ファクタリング会社から前払いを受ける

審査で問題がなければ、提示された掛目(売掛債権に占める買取対象額(与信限度額)の割合)と手数料率に基づき計算された額が指定の口座に入金されます。

4.ファクタリング会社が国保連から介護給付金を受け取る

本来の介護給付金の支払日が到来したら、ファクタリング会社が国保連から介護給付金を受け取ります。

5.ファクタリング会社から利用者に差額が支払われる

ファクタリング会社は国保連から介護給付金を受け取ったら、利用者に差額を支払う手続きをします。たとえば1,000万円の介護報酬を掛目80%、手数料率2.0%でファクタリングしていた場合、掛目の対象外になった200万円を払うと考えましょう。

介護報酬ファクタリングのメリット

介護報酬ファクタリングのメリットとして、以下の点について説明します。

  • 介護報酬が通常よりも早く受け取れる
  • 融資ではないので負債も増えない
  • 新規開業時でも利用できる可能性がある
  • 保証人、担保を用意する必要がない
  • 融資に比べれば審査には通りやすい
  • 融資に比べると手数料が安く済む

介護報酬が通常よりも早く受け取れる

介護報酬ファクタリングを利用すれば、介護報酬が通常よりも早く受け取れます。ここで、介護報酬を請求する際の一般的な流れをおさらいしましょう。

  1. 介護サービスを提供する
  2. 翌月の1日~10日までの間に介護報酬を計算し、国保連に請求を行う
  3. 国保連が内容を確認し、問題がなければ翌々月25日付近に支払が行われる

つまり、11月に介護サービスを提供した場合、12月に請求が行われ、翌年1月に支払が行われる計算です。2ヶ月近いタイムラグが生じますが、介護報酬ファクタリングを利用すればそれよりも早い時期に受け取れます。

急に大きな出費が生じたとしても、介護報酬ファクタリングを利用して資金調達するという使い方も可能です。

融資ではないので負債も増えない

介護報酬ファクタリングは融資ではないので、負債も増えません。銀行やノンバンクから融資を受ける場合、貸借対照表における負債が増えます。将来的に別の銀行やノンバンクからの融資を検討する際、負債が多いのがネックになりかねないので注意が必要です。

一方、介護報酬ファクタリングは売掛債権の売却に過ぎません。貸借対照表における負債が増えない上に、信用情報にも影響しないため、将来銀行融資を検討している場合でも安心して利用できます。

新規開業時でも利用できる可能性がある

介護報酬ファクタリングは、新規開業時であっても利用できる可能性があります。

本来は、自己資金や創業融資で賄うのが望ましいですが、何かと費用がかさむ以上、追加での資金調達を検討せざるを得ないケースだってあるはずです。しかし、新規開業時での追加融資は、実績がない以上審査にも通りづらいのが実情です。

一方、ファクタリングであれば新規開業時であっても利用できる可能性が多分にあります。
新規開業時から利用できるファクタリング会社も散見されるので、一度確認してみましょう。

保証人、担保を用意する必要がない

介護報酬ファクタリングの利用にあたって、保証人や担保を用意する必要はありません。あくまで売掛債権の売却による流動化であり、融資ではないためです。利用したいと思ったときにスムーズに利用できるため、早い時期での資金調達が可能になります。

融資に比べれば審査には通りやすい

銀行やノンバンクからの融資と比べると、介護報酬ファクタリングの審査は通りやすくなっています。3社間ファクタリングの形態を取るため、ファクタリング会社が一度介護報酬を受け取れるからです。事業者の支払能力が重視される融資とは違い、運営や手続きの面で著しい問題がなければ審査に通る可能性は出てきます。

融資に比べると手数料が安く済む

銀行やノンバンクからの融資に比べると、手数料が安く済む場合が多いのも、介護報酬ファクタリングのメリットです。介護報酬ファクタリングの場合、0%台の手数料を提示してくるファクタリング会社も散見されます。売掛先が公的機関(国保連)であるため、回収不能になるリスクは極めて低いためです。

一方、銀行やノンバンクからの融資の場合、金利はそれなりにかかります。銀行のプロパー融資であれば年1%~3%程度ですが、ノンバンクからの融資の場合は年15%~18%に達するのも珍しくありません。資金調達にあたっての金利や手数料は安く抑えられたほうが負担も軽減されます。そのような意味合いでも、介護報酬ファクタリングを使うのは有意義です。

介護報酬ファクタリングのデメリット

介護報酬ファクタリングのデメリットとして、以下の点を解説します。

  • 利用には手数料や諸費用がかかる
  • 調達できる金額に限りがある
  • 利用が常態化すると悪影響がある
  • 審査に必ず通るとは限らない
  • 悪質なファクタリング会社とトラブルになる恐れがある

利用には手数料や諸費用がかかる

介護報酬ファクタリングを利用するには、手数料や諸費用がかかります。手数料はファクタリング会社によっても異なりますが、0%台のところもあるなど、一般的なファクタリングに比べるとかなり安価です。ただし、他にも以下の費用がかかります。

  • 債権譲渡登記に関しての契約時の内容証明・書留郵便代
  • 振込手数料
  • 印紙代

手数料や諸費用が高くなってしまうと経営を圧迫するため、事前に複数の会社から見積もりを取った上で依頼先を決めるのをおすすめします。

調達できる金額に限りはある

介護報酬ファクタリングで調達できる金額には限りがあるので注意が必要です。理由として、以下の2点を解説します。

最大でも2ヶ月分の介護報酬しかファクタリングできない

まず、介護報酬ファクタリングで現金化できる対象は、最大でも2ヶ月分の介護報酬に限られるのが実情です。ある年の11月を基準として、どの時点での介護報酬を現金化できるかまとめてみました。なお、入金予定日は毎月25日頃としています。

サービス提供月 入金状況 入金予定日
8月分 入金済 10月25日頃
9月分 未入金
※サービス提供済み
11月25日頃
10月分 未入金
※サービス提供済み
12月25日頃
11月分 未入金
※サービス未提供
翌年1月25日頃

まず、8月分の介護報酬については入金されているため、介護報酬ファクタリングは使えません。また、11月分の介護報酬についてはサービスを提供していない以上、金額も確定していないことから、介護報酬ファクタリングの対象とはなりません。このような背景を考えると、介護報酬ファクタリングの対象になるのは9月分、10月分の介護報酬に限られます。

掛目が設定される

介護報酬を含め、ファクタリングを利用する際は掛目が設定されます。掛目とは、売掛債権に占める買取対象額(与信限度額)の割合です。回収漏れや貸し倒れのリスクが低いほど掛目は高くなり、その逆もしかりです。

たとえば、1000万円の介護報酬を利用するにあたって、80%の掛目が設定されたとしましょう。手数料率が2.0%とすると実際に調達できる金額は784万円(=1,000万円×80%ー16万円)となります。

掛目の対象外となった200万円については、国保連からの入金後にファクタリング会社から入金される流れです。たとえ1,000万円の介護報酬をファクタリングしたとしても、すぐに調達できる金額はかなり少なくなるのがわかるでしょう。

利用が常態化すると悪影響がある

介護報酬ファクタリングに限らず、ファクタリングの利用が常態化すると悪影響があるので注意してください。

利用を取りやめた途端、資金繰りが一気に悪化する恐れがあります。わかりやすくするために、例を用いて説明しましょう。

ある介護事業所が8月~10月と会合報酬ファクタリングを利用し続け、11月で取りやめたとしましょう。入金される金額は以下の通りです。なお、掛目は8割、入金日は毎月10日頃としています。

入金日 サービス提供月 項目
8月 8月10日頃 7月分 債権買取額の入金
8月 8月末日頃 6月分 買取対象外(2割相当額)の入金
9月 9月10日頃 8月分 債権買取額の入金
9月 9月末日頃 7月分 買取対象外(2割相当額)の入金
10月 10月10日頃 9月分 債権買取額の入金
10月 10月末日頃 8月分 買取対象外(2割相当額)の入金
11月 11月末日頃 9月分 買取対象外(2割相当額)の入金

11月になると入金される金額が一気に減るのがわかるはずです。この間の資金繰りがうまくいかなければ、倒産の可能性すら出てきます。

介護報酬ファクタリングの利用はあくまで一時的なものにとどめた方が無難です。慢性的に資金繰りの問題が起きているようなら、税理士やコンサルタントに相談し、改善策を見つけてください。

審査に必ず通るとは限らない

そもそも、審査に通らなければ介護報酬ファクタリングは使えません。介護報酬ファクタリングは、国保連に対する売掛債権の資金化という性質上、一般的なファクタリングに比べれば審査の難易度が低いです。

ただし、以下のいずれかに当てはまる場合、審査に落ちる可能性もある点に注意してください。

  • 面談での対応が悪かった
  • 書類に不備があった
  • 税金の滞納をしていた

悪質なファクタリング会社とトラブルになる恐れがある

介護報酬ファクタリングを利用する際に、悪質なファクタリング会社と接触したことでトラブルになるおそれもゼロではありません。銀行(銀行法)や消費者金融(貸金業法)とは違い、ファクタリングには現状、特別法による規制がないためです。

そのため、運営の違法性が強く疑われる悪質なファクタリング会社も存在します。貸金業法に基づく登録を済ませていないにも関わらず、担保や保証人を求めてきたり、償還請求権を付した契約をしようとしてきたら要注意です。

依頼するファクタリング会社を決める際には、入念な下調べをしましょう。また、依頼する会社を決めた後でも、不適切な運営の兆候があればすぐに利用を取りやめてください。兆候の具体例をいくつか挙げてみました。

  • 相場よりかなり高い手数料や諸費用を根拠なく提示された
  • 契約内容について質問しても回答がしどろもどろ(わかる人にもつなげようとしない)
  • 契約書を発行しない、もしく発行してくれるけど間違いだらけ
  • Webサイトに会社概要が書いていない(書いてあっても情報が不十分)
  • インターネット上に悪い口コミが多すぎる

便利だからこそ会社選びは慎重に


介護報酬ファクタリングは、実際の入金までのタイムラグが長い介護報酬を早いタイミングで資金化できる非常に便利な方法です。しかし、利用に当たっては注意すべき点も多いので、慎重に進めましょう。特に、どこのファクタリング会社に頼むかは非常に重要です。

すぐに必要にならなくても、あらかじめ比較検討した上で、信頼のおける会社を選びましょう。