【危険】経費ファクタリングのしくみとは?流れおよび問題点を徹底解説

【危険】経費ファクタリングのしくみとは?流れおよび問題点を徹底解説

「会社の出張で旅費や宿泊費を立て替えたのだけど、手持ち資金がなくて・・・」

会社に精算を依頼しても、現金を手にするまで1ヶ月近くかかったりします。
現金が手元に戻るまでの間、心細くなるかもしれません。
領収書を買い取ってくれるところがあればなあ、と考えるのも無理はありません。

実は、経費を会社が精算する前に現金化が可能なサービスがあります。
経費(領収書)ファクタリングというサービスです。

経費(領収書)ファクタリングは、個人が保有する経費(領収書)をファクタリング会社で買い取ってもらうことで、会社より早く現金化できるサービスです。

本記事では、経費(領収書)ファクタリングについて解説します。
経費(領収書)ファクタリングとは何なのかについて、請求書ファクタリングとの違いを説明し、利用から現金化までの流れを説明。
経費(領収書)ファクタリングの利点や問題点についても解説します。

本記事を読むことで、経費(領収書)ファクタリングの利用方法やメリットデメリットについて理解できますので、ぜひ最後までお読みください。

経費(領収書)ファクタリングとは

経費(領収書)ファクタリングとは、個人が経費(領収書)をファクタリング会社に買い取ってもらい現金化するサービスです。
よく似たことばに請求書ファクタリングがあります。経費(領収書)ファクタリングと請求書ファクタリングとはどう違うのかについて解説します。

経費(領収書)ファクタリングとは、個人が領収書をファクタリング会社に買い取ってもらい現金化するサービス

経費(領収書)ファクタリングとは、個人が会社に代わって立て替えた領収書を、ファクタリング会社に買い取ってもらい、現金化するサービスをいいます

対象となる経費(領収書)は、会社の費用を立て替えたものが該当します。
具体的には、交通費や飲食(会食)代、携帯代金や旅費、および文房具費、宿泊費・接待交際費など幅広い経費が対象です。

個人が立て替えた領収書を会社に提出して精算しますが、事務処理等で領収書を提出してもすぐに現金を手にできません。時には1ヶ月近く先になる場合があります。

立替金が少額であれば問題ないのですが、交通費や宿泊費となると金額は大きく、一時的であるにしても、個人の手持ち資金は減ることになります
場合によっては、個人の財政が逼迫するかもしれません。

会社から精算される前に、個人は領収書ファクタリングを利用することで、手数料を差し引かれた金額を手にできます。
手数料以外に、別途事務手数料等を徴収するファクタリング会社もあるので、事前に確認しておきましょう。

請求書ファクタリングとはどう違うのか

よく似たことばに、請求書ファクタリングがありますが、経費(領収書)ファクタリングとはどう違うのでしょうか。

請求書ファクタリングとは、売掛金を保有する事業者(法人・個人事業主)が、ファクタリング会社に売掛金を買い取ってもらい、売掛金の期日前に現金化する資金調達方法です。

請求書ファクタリングの対象は事業者(法人・個人事業主)で、経費(領収書)ファクタリングの対象者は個人であることが大きく異なる点です

ファクタリングの種類 対象者 買い取るもの
(権利)
経費(領収書)ファクタリング 個人 経費(領収書)
(立替金の請求権)
請求書ファクタリング 事業者(法人・個人) 請求書
(売掛債権)

経費(領収書)ファクタリングの流れについて

経費(領収書)ファクタリングの流れは、一般的に次のような流れになります。

  1. 申し込み
  2. 必要書類の提出
  3. 審査
  4. 契約および入金
  5. 会社の精算により返済

①申し込み

経費(領収書)を立て替えている申込人は、経費(領収書)ファクタリング会社に申し込みを行います。
大半がWebサイトからの申し込みフォームからとなっています。

②必要書類の提出

経費(領収書)ファクタリング会社の申し込みフォームより申し込むと、申込人は経費(領収書)ファクタリング会社に必要書類の提出をします。
必要書類はファクタリング会社により異なりますが、通常、以下の書類を提出します。

  • 顔写真付きの身分証明書
  • 健康保険証
  • 領収書(精算書)
  • 給与の振込確認書類

上記書類は、スマホなどで撮影した画像をメールやLINEに添付し、ファクタリング会社に送付するのが一般的です
不明な点があればファクタリング会社に確認しましょう。

③審査

必要書類が揃うと、ファクタリング会社は審査を行います。
審査内容は、領収書(精算書)等、提出書類に間違いがないかを確認する内容です。
融資の審査のような厳しいものではありません
通常、審査結果は1時間以内に判明します。
ファクタリング会社によっては、会社の在籍確認を行っている業者もあるので、不安であるならばファクタリング会社に確認しましょう。

④契約および入金

審査に通り、申込人が買取額や手数料等に納得すると契約を結びます。
電子契約で行われるのが一般的なため、申込人がファクタリング会社へ来店することはありません
契約を交わすとファクタリング会社は、申込人の指定口座に領収書金額から手数料、および事務手数料等を差し引いた金額が振り込まれます

⑤会社の精算により返済

会社の精算により手にした資金により、申込人は、ファクタリング会社に返済を行い、契約が終了します。

経費(領収書)ファクタリングの利点


経費(領収書)ファクタリングの利点として、以下の2点があるので紹介しましょう。

  • 迅速な現金化が見込まれる
  • 借金でないため信用情報に登録されない

迅速な現金化が見込まれる

経費(領収書)ファクタリングの利点は、迅速な現金化が見込まれる点です。
個人が経費を立て替え、会社から精算されるまで1ヶ月近くかかるのに対し、経費(領収書)ファクタリングを利用することで解決できます。
通常、申し込みから即日で現金化する経費(領収書)ファクタリング会社が大半です。
経費(領収書)ファクタリング会社が行う審査に関しても、金融機関が行っているような厳しい審査でないのが一般的です。
立替金が大きい場合、個人にとっては心強い資金調達方法と感じるでしょう。
また、経費(領収書)ファクタリングのやりとりは個人とファクタリング会社のみが知っているのみで、他人に知られることなく利用できます

借金でないため信用情報に登録されない

経費(領収書)ファクタリングは融資でないため、個人信用情報に登録されません。

個人信用情報とは、個人のローンやクレジットの申し込みおよび契約に関する情報をいいます。

通常、個人が消費者金融等の貸金業者で借入を行うと、個人信用情報機関に借入を行ったという登録がされます。

経費(領収書)ファクタリング会社は、貸金業者でないところがほとんどのため、登録されません

貸金業者は、申込人の年収の3分の1までしか貸付できない、いわゆる総量規制についても、経費(領収書)ファクタリング会社には存在しません。

申込人は総量規制を気にすることなく、経費(領収書)ファクタリング会社の利用が可能です。

また、個人信用情報に延滞等の異動情報の登録がされている状態、いわゆるブラックリストに載っている場合でも問題ありません
経費(領収書)ファクタリング会社は、個人信用情報の照会を行わないため、登録されていても経費(領収書)ファクタリングを利用して現金化が可能です。
そのため、貸金業者では借入の対象とならない個人であっても、経費(領収書)ファクタリングの利用は可能となります。

経費(領収書)ファクタリングの問題点


経費(領収書)ファクタリングは、利点より問題点が多いのが特徴です。
以下の5点ありますので、注意しましょう。

  • 法外な手数料を要求される
  • 悪質な業者が存在する
  • 貸金業登録を受けていない業者が大多数
  • 取り立てが行き過ぎるケースが多い
  • 違法である給料ファクタリングと似た構造

法外な手数料を要求される

貸金業者であれば、利息制限法という法律で、金利の上限が元本により定められていますが、経費(領収書)ファクタリングには、利息制限法のような法律が存在しません。

そのため、法外な手数料を要求する経費(領収書)ファクタリング会社が存在します

加えて、事務手数料という名目で、さらに手数料を差し引くファクタリング会社もあります。
買取手数料および事務手数料を合算すると、手数料だけで50%を超えるケースもあるかもしれません
利用を検討する個人は、十分注意しなければなりません。

ちなみに利息制限法とは、貸主の暴利および搾取から債務者である消費者を守る法律で、貸付元本により上限金利が定められています。

元本 年利
10万円未満 20%
10万円以上100万円未満 18%
100万円以上 15%

悪質な業者が存在する

経費(領収書)ファクタリング会社の中には、かつての給料ファクタリング業者やヤミ金、詐欺業者等、悪質な業者が存在している恐れがあるので注意が必要です
申し込みにおける個人情報を横流ししたり、申込人に断りもなく会社に在籍確認を行なったりするケースが考えられます。

ファクタリング会社を選ぶ際には、信頼性を十分見極めて利用する必要があるでしょう。

貸金業登録を受けていない業者が大多数

経費(領収書)ファクタリングを取り扱う業者は、貸金業登録を受けていない業者が大多数を占めています。
ファクタリングを行うこと自体は、貸金業登録をしていなくても営業は可能です。

ファクタリングは貸付でないので、契約を行うにあたって、ファクタリング会社は利用者に担保や保証人を要求することはありません。

しかし、担保や保証人を要求するファクタリング会社があれば、申込人は注意しなければなりません
もし、ファクタリング会社が担保や保証人を必要とする場合、申込人は契約を見送るのが賢明でしょう。

取り立てが行き過ぎるケースが多い

現金化した経費(領収書)は、ファクタリング会社に期日までに入金しなければなりません。
もし、遅延が発生した場合、ファクタリング会社には、取り立てが厳しく、行き過ぎるケースがあるので注意が必要です。

経費(領収書)ファクタリング会社は貸金業登録を受けていない業者が多いので、貸金業法の対象外となります。

貸金業法および貸金業法施行規則によると、取り立て可能な時間が午前8時から午後9時までと決まっています。
取り立ての可能な場所は自宅のみで、勤務先や実家などへ訪問して取り立てはできません。
もちろん、人を威迫したり、他の人の私生活もしくは業務の平穏を害したりするような言動はご法度です。

にもかかわらず、経費(領収書)ファクタリング会社の中には、入金の遅延が発生すると、家族や勤務先あてに恫喝まがいの取り立ての電話をかける業者もあります

本人が不在の場合、電話に出た社員に対し、領収書ファクタリングを返済する旨の伝言をファクタリング会社が行う場合があります
伝言の結果、利用者は会社に居づらくなるといったケースも起こるかもしれません。

あるいは直接家族や勤務先に訪問して、大声を上げて取り立てたり、家族にファクタリングの利用を言いふらしたりする行為をする業者もあります。

利用者は他人に知られることなく契約しても、遅延発生のため、家族や会社に知られる恐れもあるので、利用者は期日管理を厳格に行わなければなりません

違法である給料ファクタリングと似た構造

経費(領収書)ファクタリングは、裁判所で違法判決が下っている給料ファクタリングと似た構造である点にも留意しておく必要があります。

請求書ファクタリングは、商取引で発生した売掛債権の売買ですが、経費(領収書)ファクタリングは会社の立替金の買取です。
すなわち、経費(領収書)ファクタリングは、債務者が会社である点において、請求書ファクタリングとは異なりますが、給与ファクタリングとは共通しています。

現在、経費(領収書)ファクタリングは違法ではありません。
しかし、悪質な業者が増えて手数料が高くなり、取り立てが厳しくなれば、利用は危険であるといえるかもしれません

給与ファクタリングとは

給与ファクタリングとは、労働者が保有する給与債権を、ファクタリング会社に買い取ってもらい現金化するファクタリングをいいます。

しかし、2020年3月24日、東京地裁で給与ファクタリングが違法である判決が下されました。
根拠としたのは、給与債権の法的性格です。
給与債権の法的性格として裁判所は以下の4点をあげています。

  • 通貨払いの原則
  • 直接払いの原則
  • 全額払いの原則
  • 毎月1回以上の定期払いの原則

裁判所は、「直接払いの原則」に注目し、給与は直接労働者本人にのみにしか支払えないという認識で、債権譲渡はできないとの見解を示しました。
裁判所は、給与ファクタリングが、債権譲渡でなく、給与を担保とした「貸付」という考えを示し、貸金業登録のないファクタリング会社が行った給与ファクタリングは違法であるとの判決が下されました。

経費(領収書)ファクタリングは危険性が高い


経費(領収書)ファクタリングとは、個人が会社の経費として立て替えた領収書をファクタリング会社に買い取ってもらうことで現金化する方法です。
対象となる経費(領収書)として、会社の費用を立て替えたもの、たとえば交通費や飲食(会食)代、携帯代金や旅費等があります。

経費(領収書)ファクタリングの流れは一般的には次のような流れです。

  1. 申し込み
  2. 必要書類の提出
  3. 審査
  4. 契約および入金
  5. 会社の精算により返済

経費(領収書)ファクタリングの利点として、迅速な現金化が見込まれる、借入でないので信用情報に登録されない点があります。
一方、問題点として、以下の点があります。

  • 法外な手数料を要求される
  • 悪質な業者が存在する
  • 貸金業登録を受けていない業者が大多数
  • 取り立てが行き過ぎるケースが多い
  • 違法である給料ファクタリングと似た構造

対処法として、事前に会社の経費を立て替えることが予測可能な場合、会社から立替金や仮払金といった勘定科目で、現金をもらっておくことをおすすめします。

不足が出た場合、個人が立て替える必要があるかもしれませんが、経費(領収書)ファクタリングを利用するまでには至らないでしょう。

経費(領収書)ファクタリングは、危険性の高いファクタリングですので、利用を考える場合、十分検討してから行動しましょう。